NECとカシオ日立モバイルのニュースを読んでいて,数年前に関わった記事を思い出しました。携帯電話業界の再編を題材に,事業の統合がうまくいく条件を探ったものです。当時,カシオ日立モバイルの業績は上り調子。対するNECは,第3世代携帯電話機向けの技術開発で松下電器産業と合弁会社を設立したものの,はかばかしい成果を上げていませんでした。取材の結果,それぞれの事情が明らかになりました。前者は製品の開発から事業の計画まで自主的に決められる上,日立製作所側のソフト資産を捨ててカシオ側の開発基盤に一本化するといった痛みを伴う改革を進めていました。一方で後者は,合弁会社の成果を使うかどうかはあくまでも親会社の判断次第で,結局は利用が進まなかったようです。つまり,「二つの企業が協力している」という形では所詮はうまくいかず,意思決定や開発体制などが一つの企業と呼べるようになって初めて力を発揮できるということでしょう。
今回の統合の背景にあるのは,海外企業と比べて生産規模が小さいことが,日本企業の何よりも大きな弱点だということかと思います。この壁を乗り越えるために,出身母体が異なる集団が一つにまとまらなければならないケースがこれから増えそうです。その痛みを糧にして,世界に羽ばたく新しい企業が現れることを願っています。
ニュース(9月14日~9月18日)
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