<処方箋>
今なら間に合う電機新生
放置すれば滅びるのみ

 日本ビクターの売却騒動が象徴するように,国内電機メーカーに外資のメスが入ろうとしている。自社が本来持つ強さを収益に結び付けられない事業構造の変革を求める動きといえる。この流れは今後さらに勢いを増す。日本企業に今必要なのは,不可避になった事業再編を自らの手で進めることである。自社ならではの強みを核に,誰にも真似できない戦略を描き出して,実行に移す。この方向に舵を切らなければ,「緩やかな衰退」が待ち受ける。

<巻き返すケータイ>
世界展開を視野に
さらなる再編は必至

 日本の携帯電話機業界は,数年前から事業の統合や提携が相次いでいる。現在の姿が最終形ではなく,さらなる業界再編が進む可能性が高い。背景にあるのが国内市場の成熟だ。海外展開が必至の情勢である。海外展開の遂行には,企業の統合や買収による開発の効率化や規模の拡大が不可欠である。国内メーカーには第3世代携帯電話機や,カメラやビデオ関連技術など,世界市場で勝てる強さがある。事業統合が成功すれば,捲土重来も夢ではない。

<迎え撃つデジカメ>
一時の好況に惑わされず
水平分業時代を勝ち残る


 2006年,大半の国内カメラ・メーカーが増収増益を達成した。しかしそれは,競争の緩和を意味するわけではない。多くのメーカーはこの数年内に,事業再編が避けられなくなる。世界的な水平分業の進展が日本メーカーを窮地に追い込む。独創商品と強力な低価格機を求めて多くの日本メーカーで商品企画などへの集中が進むだろう。