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「日本刀」 第1話 『最も強く、美しい武器』

文:国分樹生=ライター,仲森 智博=編集委員 撮影:藤森 武 (表記分以外),宮田 昌彦(表記分のみ)
2009/08/11 15:00
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刀匠、河内國平(かわちくにひら)が製作した太刀。日本刀は茎(なかご)の表に作者名、裏に製作年月日の銘を切る。刃長二尺(約60cm)以上の大型の日本刀には、刃を下にして腰に吊るす太刀と、刃を上にして腰に差す刀がある。(撮影:宮田昌彦)
刀匠、河内國平(かわちくにひら)が製作した太刀。日本刀は茎(なかご)の表に作者名、裏に製作年月日の銘を切る。刃長二尺(約60cm)以上の大型の日本刀には、刃を下にして腰に吊るす太刀と、刃を上にして腰に差す刀がある。(撮影:宮田昌彦)

 日本刀は武器という名の、このうえなく美しい「道具」である。

 かつて使い手は、これを手に敵と戦った。その時代には、日本刀の出来がそのまま自分の生死に関わっていた。いや自分だけではない。自身の肉親や家族、友人、そして仲間たちを守る生命線だったのである。そんな切実な要求と大きな需要は、多くの優秀な作り手を生み出すことになり、実際に名作と呼ばれる数々の日本刀が生み出されていった。その中には、偶然に名品となり得たものもあったかもしれない。それをも経験として取り込み、濃密な試行錯誤を繰り返すうちに日本刀は様式を獲得し、工人たちによって一つのメソッドとしての基本製法が確立される。さらにそれを洗練させる過程で、多くの流派が生まれ、その流れの末に立つ多くの工人たちは、さらなる高みを目指して研鑽を重ねた。

河内國平が製作した短刀。刃長二尺以下の日本刀には、脇差し、短刀がある。短刀は刃長一尺以下と最も小型の刀剣にあたり、女性の護身具、守り刀としても扱われる。(撮影:宮田昌彦)
河内國平が製作した短刀。刃長二尺以下の日本刀には、脇差し、短刀がある。短刀は刃長一尺以下と最も小型の刀剣にあたり、女性の護身具、守り刀としても扱われる。(撮影:宮田昌彦)

 こうして綿々と作り続けられてきた日本刀は、道具として使われただけではない。所有者の社会的地位によっては、彼らにふさわしい美しい装飾が施された。刀身部分には、熱処理によって刃文(はもん)と呼ばれる模様を表し、それを柄や鞘、鍔(つば)といった刀装具で飾った。それら小物一つ一つにも日本の文化の粋が集められ、流麗な彫刻や象眼などが施されたのである。こうして日本刀は、いつしか武器という道具の範疇を超え、美的存在としての比重を増していく。そして、実際の戦闘に使われる機会がほぼなくなった時代にあっても、日本刀は美術品として、あるいは精神的シンボルとして神聖視され続けられている。その愛好者は世界に広がり、「最も強く、美しい武器」として特筆される存在になっているのである。

 それにふさわしい、数えきれないほどの伝説が存在する。

日本刀 神が宿る武器(日経BPムック)

――美しき魔力、その謎を探る――
★写真満載。日本刀の魅力をすべて見せます★

最も強く、美しい武器、日本刀。その強さと美しさには合理的な理由があり、それを現実のものとするための匠の技がある。平安期にさかのぼる歴史、驚異的な機能の秘密を探り、当代随一の刀匠、河内國平氏によって開示された作刀の全貌を芸術家写真の第一人者である藤森武氏による貴重な画像とともに開示する。作刀プロセスに関しては、通常は「門外不出」として一般にはあまり見せない「土置き」や「焼入れ」の工程を含め、すべての工程を開示する。


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