日経ものづくり編集部からのお知らせ
本コラム著者の笠原隆氏は,2009年8月5日にお亡くなりになりました。本記事は,ご遺族の方の了解を得て掲載するものです。

 突然ですが,皆さんは「話し方」を学んだことがありますか? 私は経営コンサルタントを職業に選択したので,「話し方」を習得する必要がありました。3年ほど仕事を早めに切り上げて夜間に開催されていた「話し方教室」の授業を受講し,基礎を学んだのです。技術者の皆さんにも役立つと思いますので,これから数回に分けて説明していきます。

上手な話し方とは…

 本題に入る前に,私が上手な話し方の模範としているものを紹介します。

まず,何を話すかを話し
 次に,それについて話し
  最後に,今,何を話したかを話す

Dale Carnegie
全世界でロングセラーとなった
『人を動かす』『道は開ける』などの著者

 この言葉は,我々が日ごろつい忘れがちな「前提条件」を思い起こさせてくれます。以下に挙げた「前提条件」を認識することが,上手な話し方へのスタートラインです。

(1)明らかな前提条件を知る

  • 聞き手はあなたを知らない
  • 聞き手はあなたの立場を知らない
  • 聞き手はあなたの話の内容を知らない
  • 聞き手はどうすればよいか知らない
  • 聞き手はなぜそうなのか知らない

 我々は「聞き手は自分のことを知っているもの」「聞き手はこれからする話の内容を十分に知っているもの」という前提で話してしまいがちですが,そうではないということです。次回は,この前提条件を認識した上で,話し手が事前に押さえておくべき項目について紹介します。