筆者も分解班の一員として,何度か現場に立ち会ったことがあります。そのときの印象から言えば,分解の醍醐味は製品の設計者の狙いを浮き彫りにしていく過程にある気がします。分解を進めていくと,必ず「あれ?」と思わせる構造や部品が現れます。その背後には,設計者の何らかの意図が隠されているはずです。その答を,分解に協力してくれた技術者が解き明かしていくさまは,推理小説さながらにスリリングで,納得できる理由が導き出されたときには,難解なパズルが解けた興奮を感じます。Tech-On!の一連の記事が伝えているのは,その一端に過ぎません。日経エレクトロニクスが9月21日号に掲載する,プレイステーション 3の分解記事を是非お読み下さい。
一方で,記事ランキングに最終製品の話題が乏しいのはちょっと寂しい。以前であれば圧倒的な強さを見せた米Apple Inc.の新製品の記事も,今回はアクセス数で11位と,選にもれました。それよりも上位にパナソニックのLED電球の記事が食い込んだことが,時代の変化を感じさせます。ただし,「インサイト」や「プリウス」の発表時に匹敵する興奮は見られません。環境の時代が本当にやってくるのなら,どんなに面白い分解記事をもはねのけて記事ランキングを独占する製品が,クルマ以外にも次々と現れて欲しいところです。