日経エレクトロニクス,1991年4月1日号から
日経エレクトロニクス,1991年4月1日号から
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 今回,「参考になった」コラムの第2位は「幼稚園児もビックリ?」。お読みになれば分かる通り,4月1日ならではの記事でした。同様な記事を,日経エレクトロニクスでも掲載したことがあります。来週月曜日付けで1001号を数える同誌の歴史の中で,4月1日発行だったのはたったの一度。この機会を逃してなるものかとばかり,編集部が一丸となって取り組んだのが,右の画像の記事です。

 改めて読み返して気づくのは,単なる冗談だったはずが,意外と当たらずとも遠からずになってしまったくだりがあることです。例えば右上の記事。「三宙電子」のモデルになったとみられる韓国Samsung Electronics社は,この記事が出た翌年の1992年にDRAM市場でトップに躍り出て,現在では世界の半導体市場でIntel社に続く2位の座を占めています。その下の記事の最後にある「用途はファミコンとスーパーコン」は,ゲーム機だけでなくスーパーコンにも使われている,ソニーらの「Cell」を暗示していたかのようです。筆者が書いたのは左下の記事。笑いがとれるかどうかだけ気にして書いたネタだったのですが,今や匂いの伝送はNTTコミュニケーションズが事業化を図るなど,企業が真剣に取り組む研究領域になりました。

 今になってみれば,本日Tech-On!で掲載を始めた日経エレクトロニクスの創刊300号の特集にある,1980年代の人工知能ブームの方がウソのように思えます。残念ながら人工知能の研究は,当時描いた理想をいまだ実現できていません。もっとも,特集の総論をじっくり読むと,人工知能の研究は決して無駄だったわけではなく,派生する成果がいくつも生まれていることが分かります。夢が――ひょっとするとウソも――大きければ大きいほど,その中には真実の種がいくつも含まれているのかもしれません。

 日経エレクトロニクスが載せたエイプリル・フールの記事は,記事の画像の右上にある通り,2002年4月時点の世界を想像して書いたものでした。同誌の発行日は月曜と決まっており,1991年の次に4月1日が月曜になる年が2002年だったから,と記憶しています。2002年のその日は,残念ながら同誌の発行日ではありませんでした。カレンダーをめくってみると,次に4月1日が月曜になるのは,4年後の2013年。その日を想像して,途轍もない法螺を吹いてみるのも,一興ではないでしょうか。

ニュース(3月30日~4月3日)