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環境ビジネス・ブームと1枚の太陽電池パネル

田島 進=主任編集委員
2009/03/30 12:00
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 世界的な大不況で,毎日,暗いニュースばかりである。不況になると何も良いことはないが,もし一つだけあるとしたら,経済活動が低下して,地球温暖化ガスであるCO2の排出量が減ることだ。しかし,今の時期にそれを好ましいと思う人はいない。反対に,政府の不況対策には,高速料金の値下げなどCO2排出を増やす方策が盛り込まれている。

 景気と環境は,これまで相性が悪かった。景気を良くしようとすれば,どうしてもCO2排出量は増える。ところが,こんどの世界不況は様子が違う。アメリカが,環境対策を軸とした「グリーン・ニューディール政策」によって,この大不況を乗り切ると言い出したからだ。

環境ビジネスで不況脱出

 世界最大のCO2排出国である米国には,膨大な「CO2削減ビジネス」の余地がある。太陽電池や電気自動車といった新産業を育成することで,経済成長と環境目標を同時に達成しようということのようだ。

 ただし,今の米国には雇用拡大のような即効性のある不況対策が必要なので,当面は,高速道路の補修や新設,送電線網の整備など,環境対策と言えば言えなくもないが,実際はこれまでと変わらない公共事業投資が中心になるのだろう。

 再生可能エネルギーや電気自動車などが産業として確立するには,まだ5年や10年はかかる。それでも,この絶望的な不況下に,環境というキーワードで国づくりの中長期的ビジョンを示したのは立派だ。心理的な影響は大きい。ハイテク産業やベンチャー・キャピタルの間では,環境ビジネス・ブームが一層加速しているとのことだし,理工系の学生のモチベーションもずいぶん違うことだろう。

即効性のある環境対策

 グリーン・ニューディール政策の具体的な内容はまだ決まっていない。太陽光発電や風力発電,バイオエタノールなどの新エネルギー開発,プラグイン・ハイブリッド車や電気自動車,スマート・グリッドと呼ばれる新しい電力ネットワークの構築。さまざまなアイディアがあり,この政策を通じて環境技術は大幅に進歩するだろう。ただし,経済への即効性には乏しい。当面の雇用拡大にもあまり貢献しなさそうである。

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