とうとうこの日が来てしまいました。「コラム/解説/講座」のアクセス数ランキングを見てください。1位に輝いたのは,2008年10月付けの古い記事。ニュース記事と合わせて集計しても,ダントツのアクセス数を稼ぎました。掲載開始後これだけ時間が経った記事が首位を占めるのは,このコラムの開始以来初めてです。

 Tech-On!のようなインターネットの情報サイトでは,過去の記事でも最新記事顔負けのアクセスを稼ぐことが間々あります。検索技術の進歩や,サイトの内外に張り巡らされたリンクのおかげで,古いコンテンツでも容易にたどり着けるからでしょう。最新号が次々に届き,過去の発行号が埋もれていってしまう紙の雑誌とは大違いです。

 今回のランキングでは,3位にも古いコラムが顔を出しています。これらの記事がどんなキッカケで再び注目を集めたのかは,よく分かりません。一つハッキリしたのは,どんなに古い記事でも最新の記事のライバルになりうるということ。コンテンツの世界では,単に新しいだけではダメで,過去の膨大な遺産と渡り合える内容がないと,読者に喜んでもらえない時代が来たのかもしれません。かくいう私は,行き帰りの通勤電車で,青空文庫にあった「三四郎」を読んだりしています。先ほど同僚と話していたら,若かりし日に見たテレビ番組に再び夢中になっているとのことでした。

 最新製品よりも過去の製品の方がヒットする――リアルな製品の世界でもそんな日がやって来るのでしょうか。以前,このコラムで「新規性」よりも「継続性」が重視される時代になるかもしれないと書きました。「大量生産・大量消費システム」に対する消費者の反省や,デジタル機器に対する「お腹一杯感」が本物なのだとしたら,この予言はあながち間違っていないのかも。

ニュース(4月6日~4月10日)