Tech-On!は,今週初めに内容を一新しました。これまで力を入れてきたニュースに加えて,「解説」「講座」といった,じっくり読める長い記事も拡充していきます。今回から,これらの記事も既存のコラム記事と同じランキングの中に登場していますので,ご参照下さい。

 さて,今週アクセス数を最も稼いだ解説記事は,「ソニーと松下電器産業が半導体メジャーになる日」でした。特集「日本半導体,最後の賭け」の一環として,日経エレクトロニクスが2001年5月に掲載した記事を再録したものです。2001年当時,「売れる家電製品のノウハウを半導体に込めることで,デジタル家電時代のIntelを目指す」という両社の主張には説得力がありました。しかし今から振り返ると,この構想はうまく実現できなかったと言わざるを得ません。

 例えばソニー・グループは,マイクロプロセサ「Cell」の開発・製造に巨額の資金を投じました。ところが,Cellを搭載した「プレイステーション 3」は,昨年末の商戦で出荷台数が前年同期を下回り,早くも息切れしています。一方でライバルの任天堂「Wii」は,同時期に過去最高の出荷台数を記録したとのことです。ソニーらの元々の発想は「ユーザーを喜ばせる機器が,強い半導体に繋がる」だったはず。それが,いつしか「強力な半導体を使えばユーザーが喜ぶ」という,逆の論理にすり替わってしまったのでしょうか。

 今週ソニーは,同社製の超高速CMOSセンサを使った新型カメラを発表しました。発表会では,記者から思わず感嘆の声が上がるなど,なかなかの製品に仕上がっているもようです。実は,この製品に使った超高速CMOSセンサは第2世代品で,前世代の部品をソニーのカメラ部門は採用しませんでした。この判断の根底には,「スゴイ部品を使うだけではスゴイ機器は作れない」との反省があったのかも知れません。

ニュース(3月2日~6日)