記者会見の場で撮って見せた写真
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外観
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縦長の「パノラマ」を撮るときの画面
縦長の「パノラマ」を撮るときの画面
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作例
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作例
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筆者が撮ってみた画像。上端が途切れたのは,操作ミスが原因と思われる
筆者が撮ってみた画像。上端が途切れたのは,操作ミスが原因と思われる
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 「おぉー」。感嘆の声が発表会場に静かに響き渡った。米Apple, Inc.の発表会で起きるような予定調和の声では決してない。筆者を含めた多数の記者が,小さな音圧で自然に,同時に,声を漏らした。

 ソニーがカメラの展示会「PMA」の開催前日に催した記者会見で,新型コンパクト機「DSC-HX1」を実演した直後の出来事である(プレス・リリース)。この実演において,同社は本機でパノラマ写真を拍子抜けするほど簡単に撮れることを示して見せた。

 手順はこうだ。撮影モード・ダイヤルをパノラマに合わせる。パノラマ写真の端に当たる被写体にカメラを向けてシャッターを切る。カメラを横に振るよう矢印が液晶パネルに出ているので,ユーザーはカメラをさっと横に振る。以上である(後述するように,縦方向も可能)。

 パノラマ写真の作成機能自体は,珍しくともなんともない。GEブランドのGeneral Imaging Co.社が89.99米ドルで市販予定の商品にも付いている。ただし,これまでのカメラでは,ユーザーがカメラのナビゲーションを従って,シャッターを2度,3度切らなければならなかった。大した手間ではないといえばそうだ。しかし,あの実演を見て,実機もさわった後では,大変面倒くさく思えてしまったことは事実だ。

 DSC-HX1が単純な操作でパノラマ写真を作れる理由は,画像出力が非常に速いCMOSセンサ(超高速CMOSセンサ)にある。ユーザーがシャッターを切らずとも,どんどん撮影して後段の画層処理LSIで,撮影結果を結合させる。

 さらにパノラマ写真関連では,もう一つ興味深いことがあった。縦長の「パノラマ」写真が印象深かったことである。DSC-HX1は,メニュー・ボタンを押してモードを選ぶことで縦長の「パノラマ」写真を撮れる。

 筆者と周辺にいた数人の記者は,縦に長い写真を撮ったり見たりした経験がほとんどない。ただし,広い青空や,影や木のような縦方向に伸びたものをとらえた写真は確かに,新鮮で見入るものがあった。特にめぼしい被写体がない発表会場内を撮っても,比較的楽しめた。

 今回のパノラマ写真の撮影機能は,ソニーの若いエンジニアが発案した。そして,どうすれば使われない「死んだ」機能にさせずにすむか,企画部門や開発部門はユーザー・インタフェースなどの面でも相当に知恵を絞ったという。そうした努力は,少なくとも記者発表という初動の段階では確かに報われた。

■DSC-HX1の仕様や価格
想定実売価格:499米ドル
撮像素子:1/2.33型,有効910万画素,画素ピッチは約1.7μm
フル画素による連写速度:最大10コマ/秒(メカ・シャッターを利用)
光学ズーム:20倍
動画:1フレームが1440×1080,30フレーム/秒のMP4形式

――中編へ続く――