ソニーは2009年2月27日,機構改革を行い,併せて経営体制を変更すると発表した。2009年4月1日付でエレクトロニクス事業とゲーム事業のオペレーションを大きく変更する。同社会長兼CEOのHoward Stringer氏が社長を兼務し,社長兼エレクトロニクスCEOの中鉢良治氏が副会長に退く。これにより,Howard氏の下で4人の役員が動く体制を取る(図1)。経営陣の層を薄くし,若返りを図ることで収益力の改善を目指す。
機構改革の中核として,二つの新事業グループを構築する(図2)。一つは,「ネットーワークプロダクツ&サービス・グループ」。その名の通り,ネットワークに対応する製品やサービスの領域で,効率を高めてスピードを速める。併せて,先端技術を結集し,イノベーションの可能性を探って「ソニーの明日を支える製品」の創出を目指す。
同グループは,ソニー・コンピュータエンタテインメント(以下,SCE)とパソコンの「VAIO」,「ウォークマン」を含むモバイル製品,ソニー製品の共通サービス・プラットフォームを開発するソニーメディアソフトウエア&サービスで構成される。
同グループのプレジデントには,SCE社長兼グループCEOを兼ねたまま,平井一夫氏が就任する。また,デピュティ・プレジデントとして,米国ソニー・エレクトロニクスのコンスーマーオブアメリカ・グループプレジデントの鈴木国正氏が就任する。なお,同氏はVAIO事業本部長も兼務する。
もう一つは,「コンスーマー・プロダクツ・グループ」。テレビ事業や,デジタル・ビデオ・カメラやデジタルカメラなどのデジタルイメージング(DI),ホームオーディオ,ビデオなど,ソニーのエレクトロニクス事業の中核であるAV機器事業を統括する。こちらも商品力を強化し,オペレーションの効率化,スピードアップを目指す。
同グループのプレジデントには,業務執行役員EVP兼テレビ事業本部長の吉岡浩氏が,執行役副社長も兼ねつつ就任する。同氏は半導体・コンポーネント事業も担当し,AV機器との連携も図る。また,テレビ事業本部長には,業務執行役員SVPでVAIO事業本部長の石田佳久氏が就任する。
両事業グループは「4人がチームとなって」(Stringer氏)積極的に連携も行い,「ソニーらしいライフスタイルを創造する製品だけでなく,顧客に新たな体験を提供するサービス」(平井氏)の開発も目指す。
以上により,同社は競争力を高め,世界同時不況による需要減退を乗り越えて収益力を改善させるという。