2008年第4四半期の販売台数シェア
2008年第4四半期の販売台数シェア
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通期の販売台数とシェア(左が2007年,右が2008年)
通期の販売台数とシェア(左が2007年,右が2008年)
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 市場調査会社の米Gartner, Inc.は,携帯電話機の2008年第4四半期(10月~12月)のエンド・ユーザー向け販売台数が前年同期比4.6%減の3億1470万台になったと発表した(発表資料)。前期比では2%増で,第3四半期に対する第4四半期の出荷台数の伸び率としては過去最低という。2008年通期では前年比6%増の12億2000万台と伸長したものの,クリスマス商戦は不振に終わった。

 流通チャネルに対する第4四半期の販売台数は2億9730万台でエンド・ユーザー向け販売台数との乖離が大きく,卸売業者/小売業者が在庫削減に努めていることがわかる。Gartner社はこの在庫抑制の動きが2009年第1四半期はさらに強まり,第2四半期も続くとみている。2009年下期には在庫拡充の動きが出て,小売店の仕入れ量は増えるとGartner社は予測する。ただし,この在庫拡充は市場の回復に直接つながるものではなく,市場の本格的な回復は2010年以降になるとした。

 第4四半期の販売台数をメーカー別にみると,首位のフィンランドNokia Corp.は1億1900万台で,前年同期比でも前期比でも減少している。市場シェアは前年同期の40.4%から37.7%に縮小した。タッチパネル端末の投入が遅れたためにスマートフォンの売り上げを伸ばせなかったとGartner社は分析する。2008年下期に入って新興市場にまで不況が広がったことも影響したという。

 一方,2位の韓国Samsung Electronics Co., Ltd.は前年同期から5ポイント近くシェアを拡大した。西欧やアジア/太平洋地域で「Tocco」「Innov8」「Omnia」などの売り上げが伸びた。Gartner社は,タッチパネル需要への迅速な対応もシェア拡大の一因になったとみている(Tech-On!関連記事:「みんなタッチ・パネルが好きだから」,Samsung社のケータイはタッチ一色 / Samsung,外側にタッチ・スクリーン付き第2ディスプレイを持つ携帯電話機を発売 / 携帯機器向けタッチ・スクリーンの世界売上高は2009年に50億米ドル)。

 3位には韓国LG Electronics, Inc.が入った。日スウェーデン合弁Sony Ericsson Mobile Communications AB.と米Motorola Inc.を抑えて3位に浮上できたのは,米国で通信事業者大手のVerizon Wireless Inc.やプリペイド端末サービスを手掛けるTracFone Wireless, Inc.向けの売り上げを伸ばしたことによるという。

 4位はSony Ericsson社で,市場シェアは前年同期の9.0%から7.5%へ低下した。同社が強みにしていた音楽再生機能やカメラ機能を同業他社でも強化したため,「Walkman」や「Cybershot」ブランドの機種ではユーザーの目を引きにくくなったとGartner社は指摘する。また,タッチパネル端末の製品系列が充実していないことも2008年に苦戦した一因とGartner社はみている。

 5位のMotorola社は市場シェアを前年同期に比べ5ポイント落とした。Gartner社は,3G端末やタッチパネル端末,およびGPSなどの「hot」な特徴を備えた端末が欠けているためにシェアを失っているとした。