システムLSI事業を強化するには,強い機器メーカーとの協業が欠かせない。これから大きく成長するデジタル家電の市場で,日本の機器メーカーが勝つのは間違いない。ゆえに,システムLSI事業の正否は,国内家電メーカーとの連携に掛かっている――。日本の半導体大手がDRAM事業から相次いで撤退した2001年ごろ,国内ではこのような見方が支配的だった。以下に再録する,日経エレクトロニクス,2001年5月12日号の解説記事からは,当時の国内機器メーカーの自信がありありと伺える。ところが,その後の市場の動きはこの想定から次第に逸れていった。現在のデジタル家電市場は決して日本メーカーの独壇場ではなく,デジタル家電の中心部にある半導体は日本製が主流とはいえない。「ガラパゴス」と揶揄される携帯電話機市場が象徴するように,日本市場の趨勢ばかりに気をとられたことが敗因の一つだったのか。(2009/03/02)

成長に陰りがみえてきたパソコンに代わって
エレクトロニクス産業の牽引役と期待されるディジタル家電機器。
この業界の雄,ソニーと松下電器産業が猛烈な勢いで半導体事業を強化し始めた。
大胆な組織改革を断行し,設備投資も国内最大手半導体メーカに迫る勢いだ。
半導体の世界ランキングではそれぞれ22位,17位にすぎない両社の動きを
国内大手半導体メーカは固唾かたずをのんで見守る。
「斬新な機器開発のノウハウを半導体事業に生かされたら,手の打ちようがない」。

国内家電大手のソニーと松下電器産業が相次いで,2001年度以降の経営方針説明会で半導体事業強化の姿勢を鮮明に打ち出した(左上:ソニー 代表取締役 会長兼CEOの出井伸之氏,右上:松下電器産業 代表取締役社長の中村邦夫氏)。これを受けて立つ国内大手半導体メーカは,2001年度以降の経営方針説明会で,今後の成長戦略を披露した(左下:NEC 代表取締役社長の西垣浩司氏,右下:東芝 代表取締役 取締役社長の岡村正氏)。(写真:本誌)
国内家電大手のソニーと松下電器産業が相次いで,2001年度以降の経営方針説明会で半導体事業強化の姿勢を鮮明に打ち出した(左上:ソニー 代表取締役 会長兼CEOの出井伸之氏,右上:松下電器産業 代表取締役社長の中村邦夫氏)。これを受けて立つ国内大手半導体メーカは,2001年度以降の経営方針説明会で,今後の成長戦略を披露した(左下:NEC 代表取締役社長の西垣浩司氏,右下:東芝 代表取締役 取締役社長の岡村正氏)。(写真:本誌)
[画像のクリックで拡大表示]