「ねぇねぇ,見た,昨日?もう私ビックリしちゃった!いきなり横綱辞めるっていうんだもの」
 「あー,朝のテレビあればっかだったねー」
 「いきなり辞めることないよねー。あんな強いのに。だって,おかしくない?絶対週刊誌とかのせいだよ。あんなのどこまでホントかわかんないよねー。何かかわいそう。いじめられたみたい。だって見た?涙流してるんだよー」
 「うーん。どうなんだろ。だって今回だけじゃないでしょ?よくわかんないけど,きっと何かあったんだよ」
 「いや,マスコミのせいだよ。絶対。外国から来たのに強いから悔しいのよきっと。私にはわかるもの。笑顔を見ればわかる。悪い人って,もっと悪い顔してるよ」
 「そーかなぁ…」
 「あ,ぁ,そんなことより。もぉー聞いたわよ。今度行くんだって,トモくんと?伊豆だって?んーもぅ,私,全然知らなかった。いつからなの?ね?ね?」
 「えっ。う,うん…。あの,言おう言おうって思ってたんだけど…」
 「まったくもー。…ん,どしたの?あ,言っちゃまずかった?」
 「ううん。そうじゃないの。えーと,みんなには言わないでね。あの,ドライブに行こうっていってたんだけど,何か急にクルマ使えないかもって。リコールとかなんだって」
 「リコ,リコ……離婚?えーっトモくんって奥さんいるの?ウソ,ふり…」
 「バカバカ,違うよー。リコールとかだって。何か修理に出すかもって。ブレーキがどうとか…」
 「えーブレーキ?ヤバくない,それ?トモくん,一体どんなクルマ乗ってるのよ?」
 「あ,ヘンなのじゃないよ。新車だし。しかもスゴイ人気らしいの。なかなか手に入らないんだって。ディーラーに友達がいたからよかったって」
 「でもブレーキでしょ?命には代えられないじゃん。レンタカーとかにすれば?」
 「んー,やっぱり来たばっかりだし。自分のに乗りたいみたい。でね,友達に聞いたら,実は故障ってほどじゃないんだって。普通に乗ってれば大丈夫って。だから本人迷ってるみたいで…」
 「何いってるのよ!どうすんのよ事故ったら」
 「うーん。でも…。カクリツはすっごく低くって…。友達も大変そうだしって…」
 「あんた馬鹿ねぇ。どんなにカクリツが低かったって,なるときはなるのよ。さっさとあきらめて,故障しない車に乗ればいいのよ。そうすりゃ何にも心配ないんだから。んーもぉ,トモくんもトモくんよ。優柔不断って言うより,ワガママなのよ。自分のクルマが彼女の命より大事なの?迷ってるヒマがあったらさっさとあきらめて,別のクルマ借りちゃえばいいのよ。女心を分かってないよねー。やっぱ男は言い訳しちゃダメよ。横綱の会見見た?どんなにひどいこと書かれても,文句も言わず辞める。カッコいーよねー」
 「でもさー…」
 「あ,わかった。あんたが乗り換えちゃえばいいのよ。うーんと。わかった。田野村先輩が良くない?外車乗ってるし。うん。大丈夫。今ならバレンタインに間に合うわよ」

ニュース(2月1日~5日)