大学教授に聞きにこない日本メーカー
「日本メーカーはね,大学にはあまり質問に来ないんですよ。韓国メーカーは,よく来るんですがね」。
先日,ある大学教授の方にお会いした際,そんな話を聞いた。
「韓国メーカーが質問に来た1年後くらいに,日本メーカーが来る。そんなパターンが多い」のだという。
似たような話は,別分野の別の大学教授からも聞いたことがある。業績がさえない日本企業の行動を大学教授が憂えるという構図は,今に始まったことではなく,いつの時代にもあることなのかもしれない。「憂える」というのは,まさに大学教授のような識者の方々の役割なのだから当然だろう。
しかし,私がお話をお伺いした大学教授の方がというわけではないが,この手の話を聞いて私が感じるのは,「実は,企業を憂えている当の大学の先生方の方が,企業から見放され始めているのではないか」ということだ。
日本の大学が抱える問題点は既に「産学連携」の文脈でさまざまな場で語り尽くされているとは思うが,最近,企業は「産学連携をどう進めるか」よりも,日本の大学に見切りを付け,海外の大学や研究機関と連携するケースが増えていると聞く。
実際,総務省の「科学技術研究調査報告」や「産業構造審議会 産学連携推進小委員会 報告書」によると,日本企業が海外の研究機関に対して投じる研究費は,国内の大学とのそれと比べて2倍以上もあり,しかもその差は開く一方だという。国内の大学に対する研究費も増加はしているものの,海外向けの伸び率の方が大きいために,差が開いている。
海外向けと差が開いているとはいえ,企業が拠出する国内大学向けの研究費自体が伸びているのなら,「日本メーカーは話を聞きに来なくてケシカラン」ということにはならなそうだが,国内大学と企業との共同研究を分野別にみると,事情がハッキリしてくる。
例えば,文部科学省が実施している調査「平成20年度(2008年度) 大学等における産学連携等実施状況」によれば,企業と大学との共同研究の件数は,「ライフサイエンス」「情報通信」「環境」「ナノテクノロジー・材料」の4分野のうち,「情報通信」分野だけが,前年割れしている。2008年秋以降の金融危機が影響しているのかとも思ったが,「情報通信」分野の「受託」研究については2007年度から既に前年割れしている。国内大学と企業との間の距離は,数年前から広がりつつあるのかもしれない。
当の日本の大学の先生方は,こうした傾向自体に無自覚なような印象を私は持っているのだが,読者の方々はどう思われるだろうか。


















