「株主至上主義との決別」「公開会社法、民主党はこう考える」を公開した後、多くの読者から今流行のツィッターを通じてたくさんの貴重なご意見をお寄せいただいた。一つ一つに感謝申し上げる。それらのご意見を私なりに整理し、今回から数回にわたって可能な限り答えていきたいと考える。引き続き、ご意見をいただきたい。

 公開会社法を実状に即した法律にするために、企業の実態の調査も進めている。これまでお話しをうかがっていなかった新興ベンチャー企業の経営者10人以上にインタビューさせていただいた。皆様おっしゃるとおり、私は現場のことを存じ上げない部分が大きいため、今後ひきつづき、きちんと整理させていただきたいと考えている。

 公開会社法に関して私に寄せられたご指摘は、大きく3点にまとめることができる。

(1)労働者の経営参加など、ガバナンス(企業統治)をどうするのか?
(2)上場企業に対する会計などの規制をこれ以上強化するのか?
(3)そもそも、他国と比べて日本の株主保護は行き過ぎているのか?

 今回は、(1)の指摘につき、藤末個人の見解を詳しくご説明したい。

 前回ご説明したように、公開会社法の狙いの一つは、内部統制の強化にある。具体的には、監査役の独立性や機能を強化し、監査役の一部を従業員代表から選任することを考えている。これに対して、読者から次のようなご指摘をいただいた。


@isologue:「今までの検討で「新興企業」の話は聴いていない。」と素直に書いてらっしゃいますが、いかに新興企業が監査役で苦労しているかは是非聞いていただきたい。監査役は"弱い"のではなく法的権限が強く単独で暴走できるので人選が難しいわけです。

@kazmura:労基下の従業員が役員に入ると云うのは戦後サラリーマン会社の変な常識感覚の延長から出た取締役経験無い人のJAL的矛盾の意見と感じます。

@uhouhouhoho:あなたの主張は民主党の支持母体である連合の主張そのもの。株主利益を削って労組に渡せと言うもの。株主が短期的な利益を求めるから企業が成長しない?アメリカの企業は成長していないとでも?あなたは連合の御用聞しているだけだ国家の未来を潰し自分の保身を計っている。

@daitojimari:日本の経営者のほとんどはサラリーマンの上がりポジションであって、銀行家や投資家ではない。そして、その多くは組合上がりですよ。経団連はサラリーマンの集まりです。労働者と企業を敵対するものとして扱うのは間違い。

@survei:株式会社の在り方が古く成りつつあるのか。株主は第三者ではなく、自分自身である事も考慮して読まなければならない。従業員兼株主という存在。

 まずはっきり申し上げておきたいことは、今回の公開会社法プロジェクトは、労働組合など特定圧力団体の利益のために推進しているわけでは決してない、ということである。個人的な問題としても、私は労組からの支援をいただいているわけではない。

 次に、@daitojimari氏の、労働者と経営者側を敵対するものとして扱うことがナンセンスだ、というご指摘には深く同意する。また、どちらかに肩入れしすぎることで会社全体、ひいては国内企業が傾いてしまっては本末転倒である。

 @isologue氏ご指摘の、監査役の権限については実際に新興ベンチャーの経営者に意見をうかがい、いかに人選で苦労されているかということを感じた。今後のわが国の企業にいかなるガバナンスを導入すべきかについては、ドイツ・フランス・イギリスの事例が参考モデルになるのではないかと考えている。

 @survei氏ご指摘の、従業員株主をどう扱うかもおろそかにできない問題だ。下記のように、フランスの制度に参考となる部分があるようだ。引き続き、検討したい。