今週のランキングで筆者の目を引いたのは,極端な価格の差です。かつて高額商品だったノート・バソコンやビデオ・カメラが5万円台2万円そこそこになるこのご時世に,東芝が発売する「CELL REGZA」は何と100万円。もしこの値付けが多くのユーザーに通用するのなら,競合他社も是非追随したいところでしょう。 CELL REGZAが採ったのは,現在の技術の粋を集めて最高の製品を作ろうというアプローチです。出来上がった製品は確かにものすごそう。宝くじに当選でもすれば,私も是非購入を検討したいところです。しかし,長年の貧乏根性が最後に顔を出して,結局は見送る気がします。なぜなら,たかだか数年ガマンすれば,似たような製品がずっと安く手に入ることを知っているからです。

 電子機器の価格下落が止まらない一因は,ここにあるのだと思います。今無理して高い製品を買わなくても,数年後に安い製品に買い換えた方が,結果として得なんじゃないか。一消費者としては,どうしてもそう考えてしまうのです。ならば,高い価値が長持ちする製品を実現することが,これからの電子業界には必要不可欠では。そう思って無い知恵を絞ってみたら,やっぱり24金とか,そっち方面しか出てこない。自分の想像力のなさにほとほと呆れはてたころ,ようやく浮かんだヒントが,使えば使うほど味が出るというキーワードです。

 恐らくその一つの姿は,増え続けるデータを上手に扱える製品でしょう。最近の電子機器は,何でもかんでもデジタル化してしまいます。旅行に行けば写真の,仕事をすればプレゼン資料の,忙しければ予約した番組の,デジタル・データがどんどん増えていきます。結果としてデータの大爆発が生じているのは御存じのとおりです。ところがデータが増えても機器に味が出ることはあんまりありません。パソコンではむしろ,使うほどに動作がおかしくなるのは,増えすぎたデータのせいではと疑いたくなるくらいです。そんな現状とは逆に,データが増すほど使い勝手がよくなる製品が,これから求められるのではないでしょうか。

 それは,「ヒトの知恵,機械の知恵」の筆者が描くような,ユーザーの嗜好を知って,それに合わせてくれる機械かもしれません。個人的にはもう一歩踏みこんで,ため込んだデータが増えるほど,思い出が整理されたり,アイデアが形をなしたりしてくれると嬉しいところです。いずれもトライアルはあるものの,まだまだやることは多そうです。

 色々想像を巡らせていたら,今すぐ欲しいものがありました。かれこれ20年前,学生時代に使っていたワープロ・ソフトです。その操作系を指が憶えてしまって,どうしても他のソフトに乗り換えられません。後継バージョンで何とかしのいでいますが,微妙に操作が違ったりして苦労します。新機能はいらないから,今のOS,さらにはこれから登場するあらゆるプラットフォームに対応するバージョンを,昔のソフトのままで出してもらいたいものです。100万円は無理だとしても,5万円くらいなら何とか。

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