セイコーエプソンは,カメラの電子ビュー・ファインダー(EVF)向けに,0.47型で解像度が800×600(SVGA,48万画素,サブ・ピクセル・ベースでは144万画素)の高温ポリシリコンTFT液晶パネルの量産を始めた(ニュース・リリース)。ごく近い将来,本パネルを搭載したカメラの市販が始まるとみられる。
セイコーエプソンには1988年に世界で初めてEVFモジュールを発売し,各社のビデオ・カメラに幅広く採用された実績がある。しかしここ10年以上は,プロジェクター向けパネルに特化していた。それを覆して参入した背景には,EVF市場の成長性に期待したこと,現在市場に出回るEVFに対して明確な優位性を発揮できると考えたことがある。
その優位性の一つが,原理的に「色割れ」が発生しないことである。色割れとは,RGBそれぞれの単色画像を順番に表示するフィールド・シーケンシャル方式の液晶パネルに付きまとう現象。画面から目をそらす瞬間や,ある早さでEVFをのぞきながらカメラをパンさせた時に,映像に写るモノのフチが虹色のように見えてしまう。この現象は例えば,業界最高水準のEVFを搭載するパナソニックの「DMC-G1」でも確認できる。
これに対し今回の液晶パネルは,RGBそれぞれの画像を同時に表示するため,高精細な画素を備えた上で各サブ・ピクセルにカラーフィルタをかぶせた。画素寸法は12μm×12μm。サブ・ピクセルは4μm×12μmである。消費電力は,460cd/m2時に200mW以下。製造には8インチ・ウエハーを用いる。セイコーエプソンは長期的には,一部のカメラ技術者が求めるEVFのフルHD(207万画素)化に応える研究を進めたいとしている。