シャープの千葉徹氏(写真:山田愼二)
シャープの千葉徹氏(写真:山田愼二)
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 シャープで電子書籍事業を指揮する執行役員 研究開発本部副本部長 兼 システム技術統轄の千葉徹氏へのインタビューの後編である(前編はこちら)。

 千葉氏は,テレビや携帯電話機に続く液晶パネルの大きな用途の一つが,“電子書籍”だと言い切る。(聞き手=小谷 卓也)

――電子ペーパーの関係者は,「なぜシャープは液晶で電子ペーパーに勝負を挑んでこないのか」と語っています。

 まさに,これからそこを狙っていきたいと思っています。これまでの歴史から言うと,液晶は携帯電話機やテレビといった用途で十分すぎるほどの需要がありました。それで,手いっぱいだったのです。

 しかし今,次の新たな用途を探していかなければならない状況です。その一つとして,電子書籍にはかなり注目しています。液晶にはもともと,テレビに応用する前に,“電子紙”を作ろうという狙いがありました。実用化の順番は逆になりましたが,液晶の次の目標は,まさにそこにあるのだと思います。

――御社は電子書籍コンテンツ用のフォーマット「XMDF」を手掛けています。一方,世界では「EPUB」というフォーマットが主流になりつつあります。

 フォーマットは国ごとに存在してもいいと思っています。書籍には,それぞれの国の文化があります。それを一つのフォーマットでカバーしようというのは無理があるでしょう。日本語に向けて開発してきたXMDFは,中国などの漢字文化圏とも相性が良いと思っています。技術的には,XMDFのアジア展開の可能性は十分にあり得ます。

――今後,電子書籍市場で勝負していく上で重要なことは何でしょうか。

 端末だけでもダメ,コンテンツだけでもダメ,うまく同期を取っていく必要があるでしょう。国内でも,市場の立ち上がりは近いとみて,いろいろな人たちが動き始めています。こうした動きの同期が取れるかどうか。競争だけではダメで,協調が必要です。それが,キーワードだと思います。