【CEATEC】「駆け出しのアナタにも電波の動きが見える」,電界分布の動画撮影用カメラが登場
情報通信研究機構は,電波の伝わり方を動画撮影するための「電界カメラ」を開発し,「CEATEC JAPAN 2009」」(2009年10月6〜10日,幕張メッセ)で展示した。アンテナ開発や電磁雑音対策での利用を想定する。従来,試作したRF回路に不具合があった場合,問題個所を予測するのは難しいため,近傍磁界プローブなどを使っていたが,解析に要する時間が長いという課題がある。今回のカメラを使えば,電波の伝わり方を動画として即時,観察できるため,経験の浅い技術者でも隣の配線との結合や振動などを判断しやすく,問題個所の当たりをつけるのに役立つとする。
今回のカメラは,単結晶のZnTe(テルル化亜鉛)の屈折率が電界によって変化することを利用する。その仕組みは以下の通り。ZnTe結晶の上に,観察したい回路を置く。回路に由来する電界により,ZnTe結晶の屈折率が部分的に変化する。ZnTe結晶の窓の下から波長780nmのレーザ光を照射してその反射光をCMOSセンサで撮影することで,ZnTe結晶の屈折率の変化をコントラストの変化として記録し,画像処理してモニタに表示する。デモンストレーションでは,電界(+,−),強度(絶対値),位相を白黒で表示して見せた。
ZnTe結晶の屈折率変化の反応速度は10-12秒程度で,測定帯域は10M〜110GHzとする。CMOSセンサを使って2万フレーム/秒で撮影し,雑音を除去して微弱信号も見えるようにするため,10〜1000フレーム/秒になるように画像を積分してモニタに表示する。1000フレーム/秒と高速で表示する場合は肉眼での観察が難しくなるため,録画してスローモーションで再生する。
今回の展示品の場合,観察領域は25mm×25mmで画素数は100×100。画素当たりの分解能は0.25mmで,0.1mm以下までは精細化できると見込むが,0.05mm以下にするには構成に変更が必要とする。強度の分解能は,表示の場合,30〜40dBを256階調に対応させている。表示なしで数値解析する場合はより細かな分解能で処理もできると見込むものの,雑音への対応が難しくなりそうとする。結晶の組み合わせなどで大画面化や高画素化できると見込む。現在は,回路の様子を動画として観察するだけだが,解析機能を追加したり,計測情報と組み合わせて,回路の問題点を指摘する機能を追加したいとしており,「画像処理の専門家に協力して欲しい」(情報通信研究機構 上席研究員の土屋昌弘氏)。
電界カメラの原理は2007年に開発したもので,実用化を希望する技術移転先を探している。土屋氏はカメラなどの構成から,製作費用は周波数帯域の高い最上位機種のオシロスコープなどと同等程度になるのではないかと見込む。今回は実用化製品をイメージできるよう,30cm×18cm×18.5cmの箱に収めたものを展示した。
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