今年で9回目となるディスプレイの国際会議「IMID(International Meeting on Information Display)」が,韓国ソウル郊外のKINTEXで開催されている。韓国のKIDS(The Korean Information Display Society),KDIA(Korea Display Industry Association),米DisplaySearch社, そしてSID(Society for Information Display)の共催である。IMIDはディスプレイに関する国際会議としてはアジアでも最大級であり,毎年2000名以上の参加者と400件以上の論文発表がある。今年は世界18カ国から集まった470件の論文が発表される(104件の招待論文を含む)。

 IMIDの特徴は,展示会が非常に充実していることである。韓国のディスプレイ産業に携わる主要企業が非常に精力的な展示をするので一見の価値があるのだが,昨年に続き今年も展示会はKDIAとの共催となったため,「韓国電子展(Korea Electronics Show:KES)」(日本での「CEATEC」に相当するコンシューマ・エレクトロニクス展示会)が併設・同時開催され,展示会場は大変な賑わいとなっている。IMIDの入場者がそのまま韓国電子展を見ることができるというのは,外国人参加者にとっては非常にありがたいことである。

 今年のIMIDは,10月13日に論文発表や展示会が始まり,本格的に幕を開けた。論文発表に先立って行われた基調講演では,3人の講演者が登壇した。以降では,この基調講演のトピックスを紹介する。

次世代テレビの開発目標と,6つの技術開発項目を示す

 基調講演の一人目は,韓国Samsung Electronics Co., Ltd.のPresident of LCD Division of DS Business のWon-Kie Chang氏である。同氏は,「FPD Industry, Challenge for Value Creation」と題して,FPD産業がさらなるジャンプ・アップをするための今後の戦略について語った。Chang氏は,「液晶産業がさらなる発展を遂げるためには,デジタル・ライフ・スタイルの要求に応える新世代液晶で,既存の液晶ディスプレイを置き換える必要がある」と主張する。

 そのためのキーワードの一つが「グリーン」である。大幅な低消費電力を進めるとともに,ハロゲン,Hg,PVC(ポリ塩化ビニル),CoCl2,PFOS,Asなど環境に影響のある材料の使用をやめ,徹底的なリサイクルを進める。画質向上の観点からは,フルHD(1920×1080画素)から「UD」(3840×2160画素。Samsungは2K×4KをUDと呼ぶ)への高精細化と共に,120Hzから240Hz,480Hzへとフレーム周波数を増大させることにより臨場感を追求する。3Dについては,ゲーム機用は眼鏡方式,デジタル・サイネージ用は眼鏡なし方式を採用する。3Dテレビは,当初は眼鏡方式だが,将来的には眼鏡なし方式へと移行させる。さらに,ネットワーク機能を強化し,インタラクティブなテレビを目指すとした。