図1 BD装置を取り出したところ。写真右にあるのが,BD装置である。
図1 BD装置を取り出したところ。写真右にあるのが,BD装置である。
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 今度は新型PS3のBlu-ray Disc装置の分解に着手する(図1)(分解その6)。従来のPS3と比べて小さくなっている(図2)。

 さっそく装置を手に取り,分解しようとする技術者たち。装置上側と下側にある金属カバーをはがす。
「こなれた設計になってきましたね」
と,BD装置の制御用のLSIなどを実装してある小型基板を見たある技術者がつぶやく。実際,制御LSIの数やコネクタ,受動部品など小型基板上の部品点数が減っている。この技術者によると,CDやDVDの普及過程と同じような段階を踏んでいるという(図2,3)。

 今回のBD装置の光ピックアップは,BD用の対物レンズと,CD/DVD兼用の対物レンズを1枚ずつ,別々に装備する(図4)。発売当初のPS3のBD装置は,BD/CD/DVD兼用の対物レンズ1枚だけを用いる光ピックアップを採用していた(Tech-On!関連記事)。2枚レンズの光ピックアップは,部品点数が多くなる欠点はあるが,CD/DVD系の安価な部品を流用しやすく,現段階では低コスト化に向く利点がある。なお,PS3が2枚レンズの光ピックアップを採用するのは今回が初めてではない。改良に伴い,途中の機種から既に採用していた模様だ。今回,比較のために入手した2007年11月発売の第二世代のPS3「CECHH00」シリーズでも,2枚レンズの光ピックアップが採用されていた。
 
 新型PS3の光ピックアップと,第二世代PS3の光ピックアップはいずれも2枚レンズ方式だが,新PS3のそれでは対物レンズ横に付いている板金を無くすなど細かい改良が見られる。部品コスト低減のためとみられる。

 続いて,光ヘッドに付いている金属板のカバーをはがし,光学系を確認する。光学経路の構成の推定などは写真のキャプションを参考にしていただきたい(図5)。

 新型PS3の筐体内上部あった冷却機構や電源モジュール,BD装置を一通り分解した。いよいよ筐体下部にあるメイン基板を見てみる。

―― 次回へ続く ――

図2 新旧のBD装置を比較する。左が第2世代PS3(40Gバイト品,型番はCECHH00)のBD装置,右が新型PS3(型番はCECH-2000A)のBD装置。いずれも外側の金属カバーを外した状態である。BD装置に内蔵された小型基板は,新型PS3のほうが実装されているチップ数が少ない。
図2 新旧のBD装置を比較する。左が第2世代PS3(40Gバイト品,型番はCECHH00)のBD装置,右が新型PS3(型番はCECH-2000A)のBD装置。いずれも外側の金属カバーを外した状態である。BD装置に内蔵された小型基板は,新型PS3のほうが実装されているチップ数が少ない。
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図3 新型PS3側の小型基板の中央部に実装されている黒い大型チップの表面には,「RENESAS SCE」というロゴの記載がある。
図3 新型PS3側の小型基板の中央部に実装されている黒い大型チップの表面には,「RENESAS SCE」というロゴの記載がある。
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図4 左が第二世代,右が新型PS3のBD装置の光ピックアップ。いずれも対物レンズを2枚備えるが,対物レンズ横に付いている板金の有無など細かい違いがある。
図4 左が第二世代,右が新型PS3のBD装置の光ピックアップ。いずれも対物レンズを2枚備えるが,対物レンズ横に付いている板金の有無など細かい違いがある。
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図5 画面左下にある3端子の素子が青紫色半導体レーザ,右下にある4端子の素子がCD/DVD用の2波長レーザとみられる。この配置の場合,青紫色半導体レーザから出た光は,レーザ直後に配置されたミラーで反射され,中央上側にある立ち上げミラー(奥のうっすらと青い透明な部品)に当たり,対物レンズ方向に出て行く(往路)。復路では,光ディスクの記録面で反射した光が対物レンズを通って立ち上げミラーで曲げられる。その光がそのまま直進して受光素子(写真左)に入る。一方,2波長レーザから出た光も,同じような経路をたどるようだ。往路では,2波長レーザの直後に置かれたミラーで光が反射され,中央下側にある立ち上げミラー(黄色に見える透明な部品)に当たり,対物レンズ方向に出る。復路は光ディスクの記録面で反射した光が対物レンズを通り,再び立ち上げミラーで曲げられてから直進し,受光素子(写真右)に入射される。(日経エレクトロニクス推定)
図5 画面左下にある3端子の素子が青紫色半導体レーザ,右下にある4端子の素子がCD/DVD用の2波長レーザとみられる。この配置の場合,青紫色半導体レーザから出た光は,レーザ直後に配置されたミラーで反射され,中央上側にある立ち上げミラー(奥のうっすらと青い透明な部品)に当たり,対物レンズ方向に出て行く(往路)。復路では,光ディスクの記録面で反射した光が対物レンズを通って立ち上げミラーで曲げられる。その光がそのまま直進して受光素子(写真左)に入る。一方,2波長レーザから出た光も,同じような経路をたどるようだ。往路では,2波長レーザの直後に置かれたミラーで光が反射され,中央下側にある立ち上げミラー(黄色に見える透明な部品)に当たり,対物レンズ方向に出る。復路は光ディスクの記録面で反射した光が対物レンズを通り,再び立ち上げミラーで曲げられてから直進し,受光素子(写真右)に入射される。(日経エレクトロニクス推定)
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