図1 電源モジュールを取り外すと,ヒートシンクが見えるようになる。フィンは水平方向に配置され,貫通するように金属の支柱が立ててある。
図1 電源モジュールを取り外すと,ヒートシンクが見えるようになる。フィンは水平方向に配置され,貫通するように金属の支柱が立ててある。
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図2 Blu-ray Discプレーヤーと樹脂筐体を外す。
図2 Blu-ray Discプレーヤーと樹脂筐体を外す。
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図3 基板を取り外す。
図3 基板を取り外す。
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図4 冷却機構の裏面。左が今回の新型PS3。右は初代PS3。
図4 冷却機構の裏面。左が今回の新型PS3。右は初代PS3。
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 新型PS3(CECH-2000A)の分解は,冷却機構とBlu-ray Disc(BD)装置,電源モジュールを取り外し,メイン基板を取り出すところまで来た(分解その4)。メイン基板の検討に入る前に,新型PS3の冷却構造に関しての技術者のコメントをまとめておく。

 技術者によると,新型PS3の冷却機構の最大の特徴は「高機能で低コスト」(熱設計技術者)と思われる点という。分解に立ち会う技術者からは,従来機に比べ「小さくなった」「すっきりした」という感想がたびたび出てきた。冷却モジュール自体も個別の調整を省き,組み立て工数を減らす設計が徹底しているようだ。高機能の追求が最優先だった初代PS3に比べると,高機能ゲーム機向けの冷却性能は維持しつつ,初期段階から設計を練り上げた形跡が随所に見られるという。

 PS3本体を開けると,ファンとヒートシンク,ダクトを一体化した冷却機構が目を引く。ダクトは電源モジュールに直結している。無駄なスペースをなくし,ダクトを介して冷却することで,冷却効率を高めようという考えだろう。さらに分解を進めると,冷却機構はメイン基板を覆う金属筐体と一緒にメイン基板に取り付けられていた。「全体として構造はシンプルで,組み立てもしやすそうだ」(熱設計技術者)。

 ファンは従来と同じく,比較的静圧が高いとされる遠心ファンを採用する。台湾Delta Electronics, Inc.の名前と「KFB1012HE DC12V 1.3A」の名称が書かれている。同社は直径100mmのファン「KFB1012」シリーズを販売しているが,「KFB1012HE」という型番は公開されておらず,PS3向けの特注品のようだ。市販品に比べると羽根の形状が直線的に見える。

 ヒートシンクの基本構造は従来のPS3と同じく,放熱フィンを水平方向に並べたもので,何本かの支柱が貫通しているように見える。主に,画像処理LSI「RSX」やマイクロプロセサ「Cell」の冷却に利用されている。Cellについては,ヒートパイプを併用して熱を拡散させているが,その本数は初代PS3のヒートシンクに比べて明らかに減っている。

―― 次回へ続く ――