日経ものづくり編集部からのお知らせ
本コラム著者の笠原隆氏は,2009年8月5日にお亡くなりになりました。本記事は,ご遺族の方の了解を得て掲載するものです。

 派遣社員として自動車部品メーカーに3年間勤めていたNさんが,最近退職することになりました。普通なら次の職を探さなくてはならないところですが,Nさんには既に新しい職場が用意されていたのです。Nさんと同じ自動車部品メーカーに派遣社員として勤めていたAさんの紹介でした。それだけでもNさんにはありがたいことでしたが,何とNさんがAさんに就職先を紹介してもらったのは,それが2度目だったのです。

 実は,AさんはNさんよりも一足早く新しい会社に移っていましたが,故郷の父親が病に倒れたため,急遽故郷に戻らねばならなくなったのです。そこで,自分の後任としてNさんを会社に紹介したのでした。

 なぜAさんは,1度ならず2度までもNさんに就職先を紹介したのでしょうか。実際に私がNさんに話を伺ったところ,Nさんは常に“一つ余計”な習慣を持っていることが分かりました。

プラスαの習慣

 成功哲学に関する著書を書いた米国のNapoleon Hillは,仕事で成功するためのキーワードとして「プラスαの習慣」を説いています。常日ごろからあなたが接する隣人,家族,会社の同僚・上司,顧客…などに対し,見返りを期待せずに“一つ余計”にサービスする習慣を付けなさいと著書に記しています。

 ここでの“余計”とは,決して“不要”という意味ではなく,“おまけ”という意味で使われています。以下に“一つ余計”の例を挙げます。

  • 一つ余計なサービス(あいさつ,笑顔,褒める言葉,慰めの言葉など)
  • 一つ余計な仕事(明日の準備,同僚の手伝いなど)
  • 一つ余計な家庭サービス(花束,お土産,配偶者の好きな一品,子供の好きなお菓子など)

 一つひとつのサービスはたとえ小さくても,それらが積もり積もれば大きなサービスになるのです。