新型PS3の筐体内上部あった冷却機構や電源モジュール,BD装置の3ユニットを一通り分解し終え,いよいよメイン基板を取り出す。メイン基板は,シールド用と思われる2枚の金属板で上下を挟まれている。その様は,メイン基板という「あんこ」を金属製の皮で挟んだ最中のようである(図1)。
2枚の金属板のうち,上側の金属板は,大小の穴が数箇所空いている。中でもマイクロプロセサ「Cell」やグラフィックスLSI「RSX」の上側にあたる部分は金属板が大きく切り取られている(図2)。消費電力が大きくて熱源となる箇所をヒートシンクによって効率良く冷却するための処置である。
さっそく2枚の金属板を外してメイン基板を取り出す(図3)。基板上に目立つのはCellとRSXである。Cellは今回の新型PS3で従来の65nm版から45nm版に変更された。今回のPS3が薄型・小型化でき,消費電力の低減できたのは,45nm版Cellの採用が大きいと思われる。カタログ仕様では,新型PS3の消費電力は約250W。従来機種に比べて約30Wほど削減している。RSXのヒートスプレッダは簡単に取り外せたが,Cellのそれは容易ではなく,いったん諦めた。
Cell周辺部を見ると,「プロードライザ」と呼ばれる4端子のデカップリング・コンデンサがなくなったことに気が付く。従来機種までは,メイン基板の表裏合わせて,Cell用に計4個のプロードライザが実装されていた。代わりに新型PS3では,導電性高分子アルミ電解コンデンサや積層セラミック・コンデンサなどを利用している。
電源モジュールとつながるプラグのそばには,無線モジュールが実装されている。金属板をはがすと,「MARVELL」のロゴが描かれたチップが見える(図4)。1チップで,無線LANとBluetoothに対応するようだ。