Samsung,高感度の新型CMOSセンサー量産へ
韓国Samsung Electronics Co., Ltd.は,CMOSセンサーの感度を高められる裏面照射(BSI:backside illumination)技術を実用化し,2010年に製品を量産する。これで,CMOSセンサーの大手3社のすべてが,2010年までに裏面照射技術を使ったCMOSセンサー(BSI型CMOSセンサー)の量産を始めることになる(図1)。Samsungは,プロセス技術に低コスト化に適した手法を採用する。
裏面照射は,CMOSセンサーの唯一の欠点ともいえる感度の低さを解消できる技術である(『NIKKEI MICRODEVICES』2009年9月号の特集記事「BSI型CMOSセンサーに参入メーカー続々」参照)。CMOSセンサーでは,光センサー(フォトダイオード)の上面に3層など多層の配線層があり,これが入射光の一部を遮っていた。このため,配線層が1層のCCDセンサーに比べて,感度が半分程度と低かった。これに対してBSI型CMOSセンサーでは,光センサーの上面の配線層がなくなる(図2)。光センサーの裏面(Si基板側)から光を取り入れるからだ。これによって,入射光が遮られることを防ぐ。
CMOSセンサーは,汎用CMOSラインで量産可能であり,画像処理回路など周辺回路とセンサー部との1チップ化が容易なことから,今後,主力のイメージ・センサーとなる可能性が高い。ただし,これまでのCMOSセンサーは感度をはじめとする画質がCCDセンサーに劣っていた。この結果,特に高画質品の市場ではCCDセンサーが依然として一定のシェアを維持している。BSI型CMOSセンサーなら,CCDセンサー並みの感度を得られることから,高感度品の市場までCMOSセンサーでカバーできる。CCDセンサー市場を侵食していく可能性もある。
こうしたことから,イメージ・センサー各社は,BSI型CMOSセンサーの開発に取り組んでいる。CCDセンサーを1980年代に実用化した同センサー最大手のソニーは,BSI型CMOSセンサーの量産化にいち早く成功した。既に同社のデジタル・ビデオ・カメラやデジタル・カメラなどに,BSI型CMOSセンサーを搭載している。今後,BSI型CMOSセンサーへ開発リソースをシフトしていく意向である。CMOSセンサー最大手の米OmniVision Technologies, Inc.は,既にBSI型CMOSセンサーを発売済みである。CMOSセンサーの大手では,米Micron Technology, Inc.から分離独立した米Aptina Imaging Corp.が2010年秋に量産化する計画である(Tech-On!関連記事「BSI型CMOSセンサー,Aptinaも投入へ」を参照)。
SOIウエーハを使わず低コスト化狙う
Samsungは,開発中のBSI型CMOSセンサーに,低コスト化に向いた製造プロセスを採用する。具体的には,一般的なSiウエーハ(バルク・ウエーハ)を使う。ソニーは,バルク・ウエーハに比べてコストが4〜5倍と高価なSOI(silicon on insulator)ウエーハを使っているようである。OmniVisionはバルク・ウエーハを使っているもよう。ソニーが高価なSOIウエーハを使うのは,BSI型光センサーの裏面から光を取り入れるために,Siウエーハを薄く研磨する工程があるため。ここで,SOIウエーハを使う方が一般にはプロセスの構築が容易である。Samsungは,SOIウエーハを使わないことで,材料コストを抑え,コスト競争力の高いデバイスを開発すると見られる。
SamsungがBSI技術に着目したのは,高感度化によって同一の感度を維持しながら画素ピッチを縮小できるためである。同社の試算によると,1.4μmピッチのBSI型は,既存技術によるFSI(front side illumination)型の1.75μmピッチ品と同等の画質を得られる。同じ画素ピッチなら,BSI型の感度をFIS型に比べて30%高められるとする(図3〜5)。同社は,今後,1.1μmピッチ品などさらなる微細ピッチのデバイスを量産化するため,BSI型の比率を増やしていくとみられる。同社では,2010年に最初に量産化するBSI型CMOSセンサーを1460万画素,30フレーム/秒に対応したデバイスとする計画。デジタル・カメラやデジタル・ビデオに加え,ハイエンドの携帯電話機への搭載を見込んでいる。
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