【Part1:緩む基準と厳しくなる基準】

先進安全装備は緩和で進化
歩行者保護・排ガスは強化へ

【Part2:プリクラッシュ・セーフティ・システム】

衝突の被害軽減から衝突の回避へ
歩行者の検知も可能に

【Part3:運転支援システム】

駐車支援システムは前進にも対応へ
クルーズコントロールも
使い勝手が向上

【Part4:衝突安全】

持ち上がりフードが頭部を保護
むち打ち傷害を軽減する
シートの法規化も

【Part5:ガソリン車の排ガス】

規制の実質強化でさらにクリーン化
低温時の排ガス浄化が課題に

【Part6:ディーゼル車の排ガス】

ガソリン車並みの排ガスレベル狙う
DPFとNOx還元触媒の両方が必須に


「1/3」を巡る攻防

GS450h用
ハイブリッドシステムの開発

トヨタ自動車として初めてのFR乗用車専用ハイブリッドシステムを搭載したレクサス「GS450h」。FF車に比べてパッケージに余裕がないFR車にシステムを押し込むため、開発陣はパワー・コントロール・ユニットの容積を従来の1/3にするという難題に取り組んだ。



 ホンダは2006年夏にポップアップフードを搭載した「レジェンド」を欧州で発売する。このシステムは、歩行者の衝突を検知するとフロントフード後端が持ち上がり、歩行者の頭部への衝撃を低減するもの。本田技術研究所安全担当執行役員の堀内守司氏に、ホンダの安全技術の方向性や将来の展開を聞いた。



新型「レクサスLS」のパワートレーン

17年ぶり刷新の新V8エンジン、 ハイブリッド車は4輪駆動に

 トヨタ自動車は2006年4月26日、新型「レクサスLS」の国内向けモデル「LS460」「LS600h」「LS600hL」3車種を公表した。これまでハイブリッドモデルはホイールベースが120mm長いロングホイールベース版としていたが、国内仕様では標準ボディも用意することを明らかにした。

ホンダの成長戦略

2009年にハイブリッド専用車、 450万台目指し、日米に新工場

日産、三菱の新型V6エンジン

80%新設計のVQ35、 MIVECと可変吸気の三菱V6

アジアの自動車生産予測

成長市場は中国だけじゃない、 インド、タイが2012年に倍増の勢い

マツダのバイオプラスチック

耐熱性、耐衝撃性を大幅向上、 自動車の内装材で使用可能に

アルプス電気が開発したHMIのコンセプト

増え続けるスイッチを再配置、 天井のスペースを活用

JFEスチールの「Intelligent Spot溶接」

厚さの違う鋼板を溶接、 溶接時の電流と圧力を変化

久保田鉄工所の冷間鍛造カムシャフト

4方向から金型を押し付ける新工法、 従来の鋳造品より30%軽量化

Michelin社の環境イベント

注目集めた「Bionic car」、 ディーゼルハイブリッド車も登場


「他社のシステムをまねするつもりはない」

 ホンダの福井威夫社長は2006年5月に開催した役員会見で、ハイブリッドシステム専用車を2009年に発売することを明らかにした。
 発表会場のアナリストから「トヨタのシステムはモータを2個使っている。ホンダとして同様のシステムを採用する考えはあるか」との質問があった。

「ディーゼル車の長期的な技術的解答がみえた」

 DaimlerChrysler社の日本法人であるダイムラー・クライスラー日本社長のHans Tempel氏は2006年6月、同年秋に導入する「Eクラス」ディーゼル車の概要を明らかにした。「ディーゼル車は環境問題に向けた将来の戦略の一つ。今後の厳しい規制に適応できる長期的な技術的解答が得られたため導入する」と述べた。

「拡大と成長路線が証明された」

 BMW社の日本法人社長Jesus Cordoba氏は2006年4月に開催した新車発表会で、日本を含め世界での販売台数が好調に推移していることを強調した。国内におけるBMWブランドの1~3月の販売台数は、前年の9869台から1万1521台に16.7%増加した。

米国のガソリン価格は1ガロン3ドルへ
節約志向の女性からダウンサイジング進む

 今年に入り、アメリカ人が乗るクルマに変化が起きている。その最大の原因はガソリン価格の高騰だ。全米ほとんどの地域でレギュラーガソリンが1ガロン当たり3ドルの大台を超えている。2000年以前はなんと1ドル以下だったのに、2005年の夏には2.5ドルを超え、ここにきて3ドル台が定着しつつある。

北米工場の生産性、日本の優位は揺るがないが格差は縮小
米Harbour Consulting社の調査で

 米Harbour Consulting社は、北米の自動車工場の生産性を調査した「The Harbour Report North America 2006」を発表した。プレス工程から最終組み立て工程までの生産時間では、日産が28.46時間となり2年ぶりにトヨタを抜き1位。トヨタが29.40時間で2位、ホンダが32.51時間で3位と、日本の完成車メーカー3社が上位を独占した。日産の生産性は、下位のメーカーと比べた場合、車両1台当たりのコストに換算して平均300~450ドル低いという。

自動車用材料で最も伸びるのは熱可塑性エラストマ
エンジニアリングプラスチックやゴムは減少

 クルマの軽量化ニーズが高まっているにもかかわらず、エンジニアリングプラスチック(エンプラ)や合金系材料の使用はむしろ減る――。富士キメラ総研は国内の自動車主要部品40品目の材料市場を調査した「2006 自動車部品材料総調査」をまとめた。

「アルファード」がランク外に去り
「エスティマ」がランクイン
日産は「セレナ」が落ち「ノート」が浮上

 自販連が発表する「乗用車系車名別新車ランキング」。2006年3~5月のランキングを見ると、1年で最も新車が売れるこの時期に、2006年1月に全面改良した「エスティマ」が3位にランクインしたのが目立つ。トヨタ勢ではこのほか、パッソが新たにランクイン。2005年12月~2006年2月にはベスト10に入っていた「アルファード」「クラウン」が圏外に去った。

販売が好調な「Grande Punto」
イタリアFiat社の救世主になるか

 今回はJATO Dynamics社の調査による欧州27カ国の新車ランキング(2006年1~3月)をお届けする。目立つのは、イタリアFiat社が2005年9月に発売した新型車「Grande Punto」の好調ぶり。

不振きわまるGM社
日本勢では日産が低迷、新型車攻勢で復活なるか

 2006年3~5月のメーカー別米国販売ランキングでは、石油価格の高騰が響き、米ビッグ3の不振ぶりが目立った。2005年12月~2006年2月のランキングでは米国勢で唯一販売台数を伸ばしていたDaimlerChrysler社Chrysler部門も失速、米ビッグ3はそろって前年比マイナスとなった。

ナビゲーションでは売れ筋がHDDモデルに移行
ポータブルナビは低価格機種と高価格機種に二極分化

 オートバックスの2006年5月の売れ筋ランキングで、ナビゲーションの売れ筋機種は2005年秋とあまり変わっていない。ただし、2005年秋の時点ではパイオニアのDVDナビゲーションが2位に入っていたのに対し、今回のランキングではHDD搭載機種の価格がこなれてきたこともあって、HDD搭載機種が上位2機種を占めた。







トヨタ、レクサス「LS460」
「LS600hL」を国内で公開

 トヨタ自動車は、レクサスブランドのフラッグシップセダン「LS460」「LS 600hL」の国内向けモデルを報道機関向けに公開し、併せて導入する3車種の仕様を発表した。

トヨタ、電動パワステの
不具合で56万台をリコール

トヨタ、ECU統合による
コスト低減を重視

アクスル、SRモータを使った
電動スクーター開発

レクサスLS、トヨタ初の電動
パーキングブレーキを採用

――ほか



トヨタ「エスティマハイブリッド」

THSIIとアトキンソンで20km/L実現
排気熱回収して実用燃費も高める

 トヨタ自動車が2006年6月に発売した「エスティマハイブリッド」はリダクションギアを用いた「THSII」システムをミニバンで初めて採用。燃費を従来型車の18.6km/Lから20km/Lとした。排気熱を回収する仕組みも盛り込み、実用燃費も改善した。

富士重工業「レガシィ」

SI-DRIVE採用で走りと環境性能を両立

マツダ「アクセラ」

部分改良ながら各部を大幅に強化、 ターボ搭載の高性能グレードを追加

富士重工業「ステラ」 ダイハツ工業「ソニカ」

主流と異端、対照的な2台、 どちらも新型CVTを搭載



Automotive Technology Day 2006 spring報告

次世代のパワートレーン占う 安全性向上デバイスにも関心

日経Automotive Technologyと電子技術者向けの専門誌である日経エレクトロニクスは共同で、2006年5月に自動車技術の総合セミナー「Automotive Technology Day 2006 spring」を開催した。「次世代エンジン」「エレクトリックパワートレーン」「自動車用2次電源」「セーフティセンサ」「自動車用半導体」の五つの専門トラックで構成、パワートレーンと安全の未来を占った。

2006 ニューヨーク・モーターショー

LSハイブリッド、スカイライン登場
日本車のCUVも多数出展

2006年4月に開かれたニューヨークモーターショーはさながら、日本車の発表ショーと化した。トヨタ自動車が「Lexus LS」のハイブリッド車を初公開し、日産自動車も新型「Infiniti G35 Sedan(日本名:スカイラインセダン)」を出展した。CUV(クロスオーバー・ユーティリティ・ビークル)も日本メーカーから相次いだ。

人とくるまのテクノロジー展2006

機構部品を小さく軽く
カメラやレーダで歩行者認識

2006年5月に開催された「人とくるまのテクノロジー展2006」(主催:自動車技術会)で元気だったのは、動力伝達系を中心とする機構部品だ。枯れた技術の代表のような分野だが、小型・軽量化、低コスト化、そして摩擦損失の低減と、まさに機械技術の王道を行く進化ぶりを見せた。このほか、カメラ・レーダを使った歩行者認識技術や、小型・低コスト化の進んだ計測技術などが注目を集めた。



津田工業

樹脂の表面処理極める
レーザ加工で質感高め
レクサスなどに採用

高級車に使われる装飾技術は何も天然素材だけではない。樹脂成形品ながら、優れた機能と高級感を併せ持ち、トヨタ自動車の「レクサス」をはじめとするクルマに搭載されているのが津田工業が表面処理を手掛ける内装部品だ。「表面処理についてはノーといわない」というポリシーを持ち続ける同社は、日々新しい技術に挑戦している。




トヨタ自動車は2006年6月13日に環境対応技術の開発状況と、今後の低公害車の展開について発表した。2010年までにガソリンエンジンと変速機を一新するほか、ハイブリッド車の開発ではプラグインハイブリッド車の開発を推進することを初めて表明した。またエネルギ多様化にも配慮し、バイオエタノール車の普及も進めていく。



生産・販売のグローバル化や、パワートレーンの多様化などにより完成車メーカーの技術者不足が深刻化している。このため日本ではあまり一般的ではなかった開発業務のアウトソーシングが始まった。まだ一部の業務にとどまっているが、アウトソーシング化は世界的な流れで、今後日本でもますます広がりそうだ。




第1回

射出成形金型内で 部品の組み立て・成膜
自動車のランプ、ドアミラーを主力とする大嶋電機製作所は、樹脂成形金型内で部品の組み立てや成膜を行う技術を開発、製造コストの大幅な削減に成功した。筆者はこの開発への取り組みなどで「平成17年度現代の名工」に選定されている。



第1回
低下する技術者の質
基礎学力の向上が必要

自動車業界では、制御システムの技術者が不足している。筆者は、自動車関係の技術者に対する、制御システムの教育を担当している。技術者は、自分を取り巻く環境や自分に欠けた部分を理解するほか、制御の読み・書き・そろばんに相当する基礎学力の取得が求められる。



第3回

欧州メーカーで採用進む
構造最適化ツール

車体部品の剛性向上や、部品に加わる応力を低減できる設計コンセプトを提示してくれるのが構造最適化ソフト。ドイツBMW社やAudi社など欧州自動車メーカーは、設計プロセスにこのソフトを適用し、開発期間短縮やコストダウンに結びつけている。ボディとサスペンションにおける三つの適用事例をみていこう。