日経オートモーティブ 新車レポート

トヨタ「エスティマハイブリッド」
THSIIとアトキンソンで20km/L実現
排気熱回収して実用燃費も高める

 トヨタ自動車が2006年6月に発売した「エスティマハイブリッド」はリダクションギアを用いた「THSII」システムをミニバンで初めて採用。燃費を従来型車の18.6km/Lから20km/Lとした。排気熱を回収する仕組みも盛り込み、実用燃費も改善した(図)。

 「そもそもハイブリッド車の先行開発はミニバンへの搭載を前提にスタートしたのです」。そう語るのはエスティマハイブリッドのチーフエンジニアであるトヨタ自動車第2トヨタセンターの江h正隆氏。最初に世の中に出たハイブリッド車は「プリウス」だったが、本来は2代目エスティマに搭載することを前提に開発が進んでいたというのだ。
 これは、ミニバンを商品化した当初からユーザーから「燃費が悪い」という不満が寄せられ、そのためにハイブリッド車が必要と感じていたから。セダンに先を越されたとはいえ、ミニバンのハイブリッド化はユーザーニーズを反映したものだ。

先代でも燃費改善望む声
 2001年に発表したエスティマハイブリッドでミニバンのハイブリッド化は実現したわけだが、それでもやり残したことがあった。先代では「THS-C」と呼ぶ2次電池の電圧を昇圧しないシステムを使っており、モータ出力が小さかった。回生の能力が少ないばかりか、加速時のアシスト力も弱いため、どうしてもエンジンに負担がかかり、少しでも荒い運転をすると燃費が思ったほど改善しなかったのだ。
 そこで新型では、ハリアーハイブリッドから取り入れた650Vへの昇圧システムを利用し、モータを大幅に高出力化した。フロントはモータにリダクションギアを組み合わせ、それにリアにもモータを搭載する「E-Four」としたのもハリアーハイブリッド譲りだ。さらに先代で3列目シート下にあったNi-MH(ニッケル水素)2次電池を左右フロントシートの間に配置し、2列目、3列目のシートアレンジの多様性も確保した。

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図●専用バンパやグリルを持つ「エスティマハイブリッド」