日経オートモーティブ 新車レポート

富士重工業「ステラ」 ダイハツ工業「ソニカ」
主流と異端、対照的な2台
どちらも新型CVTを搭載

富士重工業とダイハツ工業はそれぞれ新型軽乗用車「ステラ」と「ソニカ」を2006年6月に発売した(図)。 軽自動車市場の本流に回帰した富士重工と、 「長距離を快適に走る」というこれまでの軽乗用車にはないコンセプトを打ち出したダイハツ。 両社のコンセプトは対照的だ。軽乗用車市場のシェア争いが一段と激しくなる。

 ステラは「市場の中心、ど真ん中を狙ったクルマ」(富士重工業社長の竹中恭氏二氏、2006年6月末に退任予定)。この発言の背景には、同社が2004年に発売した「R1」、2003年に発売した「R2」が思うような販売実績を残せなかったことがある。

使いやすさで差異化
 個性を強調したR1、R2の反省に立って開発されただけに、今回のステラは個性よりも市場の主流を外さないことを最大の狙いとした。全高は1645 mmで、この市場で最大シェアを占めるスズキの「ワゴンR」(2輪駆動)とまったく同じ。ダイハツ工業の「ムーヴ」(1630mm、2輪駆動)やホンダ「ゼスト」(1635mm、同)などの競合車種とも、ほぼ肩を並べるサイズだ。外観デザインも競合車種に対し、際立った個性を主張しているとはいえない。
 機構面では、開発期間の短縮と開発コストの圧縮のために、プラットフォームはR2と共有しており、2360mmのホイールベースや前1295mm、後1285 mmのトレッドなど、基本的な寸法は同じ。搭載エンジンも、R1、R2と同じ排気量0.66Lの直列4気筒・DOHCエンジンで、自然吸気とスーパーチャージャ付きを用意する。
 こうした中で、富士重工業が競合車種に対して差異化するポイントとして最も重視したのが「使いやすさ」。同社では開発段階から、デザインスケッチ、モックアップ、試作車などを開発の節目でユーザーに見せるクリニックを実施、使う人の立場に立った開発を徹底した。参加したユーザーの人数は延べ1300人に達し、富士重工業の新車開発ではこれまでにない規模になった。

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図●富士重工業の「ステラ」(a)とダイハツ工業の「ソニカ」(b)
ステラは軽乗用車の主流となる背高ワゴンに参入。ソニカは軽乗用車としては低い車高としてスポーティーさを演出した。