日経オートモーティブ イベントレポート

Automotive Technology Day 2006 spring報告
次世代のパワートレーン占う
安全性向上デバイスにも関心

日経Automotive Technologyと電子技術者向けの専門誌である日経エレクトロニクスは共同で、2006年5月に自動車技術の総合セミナー「Automotive Technology Day 2006 spring」を開催した。「次世代エンジン」「エレクトリックパワートレーン」「自動車用2次電源」「セーフティセンサ」「自動車用半導体」の五つの専門トラックで構成、パワートレーンと安全の未来を占った。

 午前中の基調講演では、マツダロードスター開発主査の貴島孝雄氏が、2005-2006日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞した3代目「ロードスター」(図)の開発秘話を披露した。開発コンセプトは、初代ロードスターと同じ「人馬一体」。このコンセプトを開発担当者にいかに浸透させるかに、貴島氏は腐心した。

「人馬一体」を体験させる

 企画、設計、実験、生産技術といった縦割り組織の壁を打ち破り、開発メンバーにこのコンセプトを体で体験させようと、貴島氏はまず、初代ロードスターも含め、日本で入手できるすべてのオープン2シーターを用意し、関係メンバーを連れて1~2泊のツーリングに出かけた。そして、このツーリングを通じて感じたことを、それぞれの担当者が自分の言葉で開発目標に落とし込んでいった。
 車両コンポーネント開発では、軽量化が大きな課題となった。「グラム作戦」と呼ぶ軽量化の検討では、開発のデジタル化で実部品を見る機会が少なくなっていることを踏まえ、開発メンバーが実際の部品を目の前にして、どこに無駄な質量があるかを見つける活動を実施した。また最近の車体開発では「強度・剛性を解析して弱いところを補強したらOKという場合が多い」(貴島氏)が、今回はあえて「余裕のあるところはどこか」を追求して削れる部分を削っていった。

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図●マツダロードスター
「人馬一体」を開発のコンセプトとした。