興味深い話を聞きました。本日から連載を始めた解説記事「iPhoneキラーの使い心地」の原稿執筆をお願いしているときです。相手は,機器のユーザー・インタフェースを手掛けるデザイン会社。いわく,「Android向けのアイコンは作るのが大変だけど,iPhone向けは簡単に作れて,見た目もそれっぽく仕上がる」と。理由は,それぞれの陣営が指定するアイコンのスタイルにあるそうです。Androidが3次元でやや斜めに傾いたアイコンを求めるのに対し,iPhoneは2次元のアイコンで済み,スタイルガイドに従えばそれなりのものができるとのこと。

 こういう細かな気配りでソフトウエア開発者を味方に付けるところに,Apple社の好調の一因があるのかもしれません。かつてのNEブログにも,「プログラマーとして惹かれるのはどちらかというと,(Androidよりも)iPhone SDK」とか,「iPhoneなら一儲けできそうだ」など,ソフトウエア開発者を巻き込むApple社のしたたかな手腕がうかがえる発言がありました。まあ最近では,米Googleの「Google Voice」をApp Storeから排除した件で米FCCが調査に乗り出すなど,ちらほら不協和音も聞こえてきますけど…。

 それにしても不思議なのは――いつもながらの話で恐縮ですが――何で同じことが日本企業になかなかできないのか,ということです。特にApple社の宿命のライバルであるソニーは,かつてCDやゲーム・ソフトでコンテンツ側を味方に付けて世界を席巻したはずですから,なおさらそう感じます。個人的には,レコード会社を買収するなど,コンテンツを自社で抱え込もうとしたころから,ちょっと違う路線に進んでしまった気がします。うがった見方をすると,仲間を増やして市場を広げるというよりも,抱え込んだコンテンツを「人質」にして自社製品を売り込もうという発想があったのかも。そういえばソニー・ミュージックエンタテインメントは,いまだに日本のiTunes Storeでコンテンツを販売していないんですね。

ニュース(8月3日~7日)