「セクシー」は機能ですか?
「最初はおもしれーって思ったんだよね。けど2,3日いじったら飽きちゃった」
取材をかねて,旧友であるプログラマーに会ってきた。ちまたで話題の二つの次世代携帯電話向けソフトウエア開発キット(SDK)―米Google Inc.の「Android」と米Apple Inc.の「iPhone SDK」―について話を聞くためである。
冒頭の言葉はAndroidの感想である。彼によると,現時点でAndroidとiPhone SDKを比較すると,完成度や機能面では明らかにAndroidの方が上なのだとか。やろうと思えば既に本格的なアプリケーションを開発できる状態のAndroidに対して,iPhone SDKはいまのところ,カジュアルなゲームやアクセサリ系の小物ソフトウエアの開発がせいぜいという状況らしい。ドキュメント類の充実ぶりなどから「Appleの気合い」はビシビシ感じるらしいが,開発環境としてはまだまだこれから,というのが彼の評である。
ところが,プログラマーとして惹かれるのはどちらかというと,iPhone SDKだというのだ。
「やっぱりこっち(iPhone SDK)の方がいいなぁと思っちゃう。なんでかね? 自分でも不思議なんだけど」
要するにiPhone SDKの方がセクシーってこと? と尋ねると,「まあ,そういうことかな」という。
彼は元々,Macintosh用のソフトウエア開発を手がけていた人であるので,明らかに「Apple好き」のバイアスがかかっているとは思う。ついでに言うならば,彼の現在の本業は携帯電話機向けソフトウエアの開発ではないから,AndroidやiPhone向けソフトウエアの開発を仕事として手がける予定は当面ないはずだ。それでも彼のこの言葉は妙に納得できた。機能で劣っていても,やっぱりセクシーな方がいいに決まっている,と私も思う。
数週間前,「MacBook Air」の分解記事で「中身は無駄だらけ」(Tech-On!関連記事1)とタイトルを付けたら,予想を大きく上回る反応を頂いた。後に補足記事(Tech-On!関連記事2)も追加したが,この記事が伝えたかったのは,「MacBook Airはコストを度外視した作りになっている」という事実である。
実は私も分解作業の現場に,野次馬として立ち会ったのだが,分解して見えてきたApple社のこだわりぶりは,にわかには理解しがたいレベルだった。目に見える機能や数値で比較できる性能とは直接関係しない部分に,Apple社が力を注いでいるのはよく分かった。
Apple社がMacBook Airで具体的に何にこだわっていたかは彼らに直接聞いてみないと分からない。キーボードのタッチかもしれないし,筐体の剛性感かもしれない。出荷タイミングや開発スピードを重視したのかもしれない。
いずれにせよ,それによって「セクシーさ」を作り込んでいるのではないか。だとするならば,セクシーは機能だと思う。セクシーという言葉の響きが悪ければ,ユーザー・エクスペリエンスでも何でもよいけれども。
私の友人のプログラマーは極端な例かもしれないが,いまや開発キットだってセクシーさで選ばれかねないのである。製品ならなおさらだろう。「セクシーという機能」は,数値や一覧表では計れないかもしれないが,それを作り込むための技術はどこかにある。少なくともApple社はそれを持っているように思える。
















