日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は2009年8月5日,通信モジュールとSIMカードを事前に組み込んだノート・パソコンを「HP Mobile Broadband」モデルとして発売すると発表した。発売時期は2009年9月上旬。当初いわゆるネットブックと,中型のタブレット,フルサイズ・ノートの3種類を投入し,その後順次対応製品を増やしていくという。これらのモデルは通常のモデルより5000~1万円高くなる予定という。SIMロックはされておらず,他のキャリアの携帯電話網を通じた通信も可能にしている。

 携帯電話網と公衆無線LANを通じてインターネットに接続する。携帯電話網の利用料金はプリペイド式で,購入時に特に契約などの作業は必要ない。「インターネットに接続して使うことを前提としてネットブックと呼んでいたのに,実体はインターネットにすぐにつながらなかった。このサービスを利用することで,本当の意味でネットブックと呼べる製品になる」(日本HP パーソナルシステムズ事業統括マーケティング本部の平松進也氏)。

 購入後,最初に起動すると,自動的に接続ソフトとWebブラウザーが起動し,携帯電話網を通じて5分間インターネットにつながる。接続を一度解除したら,個人情報の登録と使用権を購入するためのクレジット・カード情報を登録することで,インターネット接続が利用できるようになる。携帯電話網の利用料金は1分10円。公衆無線LANはNTTコミュニケーションズの「HOTSPOT」,ソフトバンクテレコムの「BBモバイルポイント」,空港情報通信の「エアポートネット」が利用できる。利用料金は1日1回300円。1000円分の利用料金があらかじめ設定されている。

 サービス構築には日本通信が協力した。同社がNTTドコモから借りた回線を日本HPに提供している。「これまで携帯電話事業者が提供するサービスの部品として,メーカーが携帯電話機やパソコンを供給していた。今回のモデルでは,メーカーが主役となって,携帯電話サービスを部品として利用している。携帯電話事業におけるパラダイム・シフトだ」(日本通信 代表取締役社長の三田聖二氏)。