ルネサス・NECエレ統合――4月16日付の日本経済新聞の報道には本当に驚きました。東芝・西田社長が「日本の業界再編を積極的に仕掛ける」と発言してから早3カ月弱。国内企業の論理半導体事業を巡る動きはずっと水面下に潜っていましたが,まさかこの組み合わせで浮上するとは思いませんでした。ルネサス テクノロジ設立の際に,NECも含めて統合する計画があったのに頓挫したと聞いていたからです。この経緯が,いわゆる共同ファブ構想が不調に終わった一因と見る向きもありました。その両社が統合へ動くというのですから,世の中何が起こるか分かりません。

 仮に両社の統合が成立した場合,新会社が目論見通りに成功するかどうかは,経営陣の手腕次第でしょう。かつてDRAMでは,NECと日立製作所が事業を統合し,後に三菱電機の事業も加わりました。現在のエルピーダメモリです。同社を率いる坂本社長に以前取材したとき,業績回復の鍵として挙げていたのは,親会社の意向に左右されずに経営できる体制でした。その体制を築くために同社は株式を上場。現在の株主は,外国法人等が35.9%,金融機関が35.3%などと,設立当初の面影はもはやありません。NECエレクトロニクスとルネサス テクノロジが統合した場合も,エルピーダのように「独り立ち」できるかどうかが,正否を大きく左右するのではないでしょうか。

 今のところ,両社は「決定した事実はない」と主張しています。Tech-On!では,こちらのサイトなどで,両社および関連各社の動きを引き続き報道していきます。

ニュース(4月13日~4月17日)