この4月3日に宇宙開発戦略本部宇宙開発戦略専門調査会が開催されて「宇宙基本計画の骨子」が議論されました。あまり新聞などには載りませんでしたが、宇宙基本計画は昨年策定された宇宙基本法第24条に基づき策定されるもので、「10年程度を見通した5年間の政府の施策を総合的かつ一体的に推進する計画」という宇宙行政の進む方向を決めるきわめて重要なものです。

 宇宙基本計画では「宇宙開発利用に関する基本的な方針」として

○技術開発力を高めつつ、利用重視へ政策転換
○宇宙開発戦略本部を司令塔として、政府全体が一体となって施策を推進
○優れた技術・人材等の底力をもって宇宙の特性を活かし、グローバルな地球的規模の課題解決や世界の環境に優しい持続的発展に寄与する実効性のある国際貢献を目指すとともに、国民が安心して安全に豊かな生活を送れるよう国民生活の質の向上を目指す

とし、この方針を具現化するために、次の5つを柱として施策を推進することにしています。

方向性1:宇宙を活用した安心・安全で豊かな社会の実現
方向性2:宇宙を活用した安全保障の強化
方向性3:宇宙外交の推進
方向性4:先端的な研究開発の推進による活力ある未来の創造
方向性5:21世紀の戦略的産業の育成

 個人的には、「戦略的産業育成」を2番目にして欲しかったのですが、なかなかうまくいきません。替わって「宇宙を活用した安全保障の強化」を2番目に挙げていますが、国会でも議論があり宇宙の平和利用や専守防衛といった枠をはめたところですので、宇宙政策という面から安全保障を強く議論するのは正直疑問です。宇宙外交の推進は民主党が与党案を修正してより強調したところです。

 これが宇宙基本計画の概要ですが、私が宇宙開発戦略本部に対して「よくやった」と言いたい点が2つあります。

宇宙政策のニーズを明示

 まずは、宇宙政策のニーズを明確にしたということです。まだ参考資料の段階ですが、「主なニーズと衛星開発利用等の現状・10年程度の目標(案)」として宇宙政策のニーズを整理しています。