まずはこちらを見て欲しい。今回,アクセス数で2位に入った記事から取った画像である。デモとしては面白い。でも,一体これは誰の顔なんだろう。

 昔,紙の雑誌の編集をしているときにこんなことがあった。インタビュー記事で使う相手の写真で,鼻から毛がぼうぼう出ていたのである。報道に携わる者としては,やはり相手の正確な姿を伝えるべきか。あるいは取材先の気持ちを慮って,何食わぬ顔で修正しておくべきなのか。自分の担当ではなかったのでよく覚えていないが,結論は恐らく後者だったと思う。

 今や電子技術の進歩によって,これとは比べものにならない修正が,自由自在にできる時代になった。先ほどの画像などは,サーバーに素材を送ればほんの2秒で作れるらしい。このままいくとどうなるか。人間,誰しも人にはよく見られたいに決まってる。少なくともバーチャルな世界では,人類は本人とは似て非なる美男美女の群れになってしまうのではないか。

 それ自体は仕方ないことかも知れない。そもそも女性の化粧には,昔から何度だまされたことか。勘弁して欲しいのは,みんなが似たような顔になってしまうことだ。キレイに整った顔は,どうも特徴に乏しい気がする。その証拠に若手のタレントの誰が誰だか区別が付かないのは,私だけではないだろう。どうせ修正を施すのならば,一人一人の個性を伸ばす方向にしてほしい。目が大きい人はより大きく。鼻毛が伸びている人はより長く。そちらの方が,豊かな世界が開けるような気もするのだが。

ニュース(4月20日~4月24日)