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HDD完全代替に向けてOSによる対応が急務

竹内 健=東京大学 大学院 工学系研究科 電気系工学専攻・工学部 電気電子工学科 准教授
2009/03/09 00:00
出典:日経エレクトロニクス、2008年4月21日号 、pp.67-77 (記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
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デジタル・カメラ,USBメモリ,携帯型音楽プレーヤー,携帯電話機と
次々と用途を開拓してきたNANDフラッシュ・メモリにとって,
次なるターゲットはHDDの置き換えである。
HDD代替に向けて開発が進むSSDの現状と今後の課題,
および,その解決の技術的道筋を解説する。
著者は,2007年まで東芝でNANDフラッシュ・メモリの
主力設計者として活躍し,東京大学に転じた人物。(本誌)

図1 SSDの性能はコントローラが鍵を握る
SSDはNANDフラッシュ・メモリとNANDコントローラなどから成る。 SSDにおける不良ブロック管理や誤り訂正,ウエア・レベリングなどの処理は NANDコントローラのフラッシュ・トランスレーション・レイヤで実行する。
[画像のクリックで拡大表示]

 半導体ディスクのSSD(solid state drive)は,NANDフラッシュ・メモリとNANDコントローラ,バッファ・メモリ用途のDRAMから成る(図1)。SSDの性能はNANDフラッシュ・メモリの性能だけでなく,NANDコントローラのアルゴリズムによって大きく左右される。そのため,NANDフラッシュ・メモリの特性を考慮したNANDコントローラの最適設計が必要になる。今回は, NANDフラッシュ・メモリのデバイス技術や回路技術を踏まえつつ,NANDコントローラ技術を中心に,SSD技術の現状と今後の課題などを説明する。

性能はHDDより上
優位性の維持が課題

 SSDの内部では,NANDコントローラのフラッシュ・トランスレーション・レイヤ(FTL)がNANDフラッシュ・メモリの不良ブロックの管理,誤り訂正(ECC),セル当たりの書き換え回数を平準化するウエア・レべリング,論理アドレスから物理アドレスへの変換,複数のNANDチップの並列動作といった制御を行う。

 まず,現在のSSDの性能を検証するために,大容量データを転送する際に重要になる連続(シリアル)データ転送速度,およびランダム・アクセス時間について,1.8インチHDDと比較した。画像や音楽データのように,NANDの書き込み単位であるページ・サイズ(4K~8Kバイト)よりも十分に大きなファイル・サイズのデータをSSDに転送する場合は,表1に示したNANDフラッシュ・メモリの連続データ転送速度がSSDの性能を決める。

表1 SSDの連続データ転送速度はHDDと同等
表1 SSDの連続データ転送速度はHDDと同等
NANDフラッシュ・メモリとHDDの連続(シリアル)データ転送速度を比較した。NANDフラッシュ・メモリは,1 個のメモリ・セルに1ビットのデータを格納するSLC品と,1個のメモリ・セルに2ビットのデータを格納するMLC 品のそれぞれについて,HDDは1.8インチ品の典型的な数値を示した。

 1ビット/セルのNANDフラッシュ・メモリ(single level cell:SLC)に比べて低速な2ビット/セルの多値(multi level cell:MLC)NANDフラッシュ・メモリを利用する場合でも,4チップを並列動作させることで,読み出し速度は100Mバイト/秒,書き込み速度は40Mバイト/秒と,1.8インチHDDと同等以上の連続アクセス性能を達成できる。

表2 ランダム・アクセス時間はSSDの方が HDDより大幅に短い
表2 ランダム・アクセス時間はSSDの方が HDDより大幅に短い
NANDフラッシュ・メモリとHDDについてランダム・ アクセス時間を比べた。HDDは5ms以上を要するのに対して,NANDフラッシュ・メモリは数十μs~数百μsと短い。

 一方,パソコンなどで使用する場合は,NANDフラッシュ・メモリのページ・サイズより小さいデータの書き換えが頻繁に生じる。具体的には,OS(ディレクトリ・エントリやファイル・システム向けメタデータ)の変更やアプリケーション・ソフトウエアの変更などがそうだ。こうした用途ではランダム・アクセス性能も重要になる。表2に示すようにNANDフラッシュ・メモリのランダム・アクセス時間はケタ違いに短い。これに対して,HDDは磁気ヘッドが磁気ディスク上の目的のトラックに移動する必要があるため,ランダム・アクセス時間が5ms以上と長い。

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