私たちが持つ意識の中で,常に使用しているのは顕在意識です。意識全体における顕在意識の割合は,3~20%程度といわれています。そして残りの80~97%は,普段はあまり使用されていない潜在意識です。多くの研究結果から,潜在意識は人間の行動や心理に強い影響を与えていることが分かっています。
仕事を効率的に進めて目標を確実に達成するには,この潜在意識の活用がカギになります。そこで,潜在意識を活用する方法を紹介します。
潜在意識の特性を知る
活用法に入る前に,まずは潜在意識の特性を知りましょう。下記以外に,「否定語」ではなく「肯定語」を使うことも重要です。
特性 | 説明 |
イメージに強い反応を示す | 写真や絵画,図表などに反応する |
繰り返しに強く反応する | 反復により効果が高まる |
リラックス時に働く | 就寝前や朝方,休憩中などに機能しやすい |
現実と想像の区別ができない | この特性を利用して常にうまくいっているというイメージを持つと良い |
理性より感情に作用する | 声に出す,行動する,モチベーションを高めるとより強く作用する |
学生時代の勉強法は…
皆さんは学生時代に,以下のような勉強法を実践していませんでしたか。
- トイレに「数学の公式」などを張る
- 天井に目標を書いた紙を張る
- 英単語をカードに書いて持ち歩いて覚えた
これらは,実は潜在意識を活用する基本的な方法です。ちなみに上の二つは,イメージおよびリラックスの特性,最後の一つは繰り返しの特性を利用しています。
目標を書いて張ろう
皆さんの目標にも,潜在意識を活用してみましょう。「新商品を開発する」「新技術を導入する」「部品の標準化を進める」「品質を改善する」――。何でも構いません。このような目標を職場の目につく所に張ってみます。
張る場所は,玄関,部屋の入り口,会議室,食堂,掲示板,窓,ロッカーなどがあります。1枚といわず何枚でも張っていきましょう。会社によっては,大きな垂れ幕を作って道路や建物に掲示するところもあります。個人的な意識を高めるために腕章,ワッペン,バッジ,帽子などに目標を書く会社もあります。
私自身も,改善のコンサルティング指導をする時には,必ず目標を書いて張るように指導しています。皆さんの職場でも潜在意識を活用し,目標達成を確実にするため,目標を張ることをお勧めします。また,目標を意識することで,連帯感を高めるという効果も期待できます。