日経テクノロジーオンラインのテーマサイト「エネルギー」の直近3週間(2014年9月18日~10月5日)のアクセスランキングでは、電力の自由化やグリーン化に立ちはだかる障壁を象徴するトピックスが2つ、ランクインしました。
ランキング首位となったのが、「相次ぐスマートメーターの設置拒否、既存メーターの継続利用に特別料金を徴収へ」。電力自由化のインフラの1つとして日本でも注目を集めているスマートメーターに関する記事です。スマートメーター先進国である米国において、その導入を電力使用者が拒否する事例が相次いでいる実態をレポートしています。
ご存じの通り、スマートメーターは双方向通信機能を備え、電力消費量をリアルタイムに無線送信できたり、電力会社が電力供給量を制御できたりする特徴があります。記事によれば、米国では2013年7月時点で4600万台以上のスマートメーターが設置済み。これは全米の電力契約数の32%に当たるといいます。
電力の効率的な利用という観点で、電力会社と消費者の双方に利点があるスマートメーターですが、米国ではその設置を拒むユーザーが続出し、問題となっています。スマートメーターが同国でなぜ敬遠されているのか。記事はいくつかの理由を提示しています。電磁波を使って情報を送信することに伴う健康被害の懸念、盗聴の可能性、プライバシーの侵害、データの正確性への懸念、さらには火災の可能性などです。
カリフォルニア州の電力会社PG&E社の一部の消費者グループは、スマートメーターの撤去をカリフォルニア州公益事業委員会に要求。協議の末、公益事業委員会は、スマートメーターを使用しないオプションを電力消費者に与える規制を電力会社に課しました。ただしそのオプションでは、スマートメーターを使用しない場合は最初に75米ドルを支払い、その後も月額10米ドルを支払わなくてはなりません。メリーランド州の公益事業委員会も、2014年2月に同様の規制を設けています。スマートメーター設置を拒否する顧客は、まず75米ドルを払い、月額11~17米ドルを払い続けなくてはならないというものです。
日本でも、スマートメーターの本格利用はまだこれから。どのような懸念が生じうるのか、どのようなコンセンサス作りが必要なのか、といった点について米国の事例に学ぶところは大きそうです。