液晶パネル製造装置などのメーカーとして知られる三星ダイヤモンド工業(大阪府摂津市)と日鉄住金物産の合弁会社「MDI-SBソーラー」(大阪府大阪市)は2013年11月、山梨県上野原市で、出力約3MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)の稼働を開始した(図1)。

図1●MDI-SBソーラーが山梨県上野原市に建設した出力約3MWのメガソーラー
MDI-SBソーラーは、三星ダイヤモンド工業と日鉄住金物産の合弁会社(出所:MDI-SBソーラー)
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 三星ダイヤモンド工業は、ダイヤモンド製のガラス切断具などの工具から、液晶パネル市場の揺籃期以降は、ガラス基板の切断装置に事業を広げ、液晶パネル市場の成長とともに規模を拡大してきた。

 近年は、薄膜系太陽電池セル(発電素子)の製造装置に注力しており、薄膜の成膜以外のほぼすべての製造プロセスに装置を提供している。

 発電への取り組みにも意欲的で、2010年に新築した本社や飯田工場(長野県飯田市)の屋上に、それぞれ太陽光発電システムを設置し、ノウハウを蓄積してきた。

 日鉄住金物産側では、2013年10月に住金物産と日鐵商事が統合する以前、住金物産が1980年代後半以降、タイのロジャナ工業団地を運営してきたことが、今回のメガソーラー事業の源になっている。タイの財閥と住金物産の合弁企業で取り組んできた。

 工業団地に企業を誘致するためには、電気やガス、水道、道路などのインフラが欠かせない。その整備の一環で、工業団地への電力供給企業として、ロジャナ工業団地、住金物産、関西電力の3社による合弁企業、ロジャナ・パワーを設立し、合計出力430MWの火力発電所を運用している。

 ロジャナ・パワーはその後、タイで3カ所、合計出力24MW(太陽光パネル出力は30MW)のメガソーラーを建設した。2011年に発生した洪水の影響で、大幅に計画が遅れながら、2014年8月までに3カ所とも稼働を開始した。

 同様に、マレーシアでは、住金物産と現地企業による合弁で、固定価格買取制度(FIT)に基づき、出力1MWの屋根一体型のメガソーラーを建設した。

 日本でもFITの導入が決まり、住金物産は国内でもメガソーラーによる発電事業に参入することにした。

 国内で最初に建設したのは、兵庫県丹波市の出力約1.75MWのメガソーラーだった。住金物産の取引先である、自動車部品のエクセディ(大阪府寝屋川市)と合弁で、エクセディSB兵庫(大阪市)を設立して事業会社とした。出資比率は、住金物産が60%、エクセディが40%だった。

 次に着手したのが、三星ダイヤモンド工業との合弁のMDI-SBソーラーである。出資比率は、三星ダイヤモンド工業が51%、住金物産が49%。三星ダイヤモンド工業もまた、住金物産の取引先で、三星ダイヤモンド工業製のガラス切断装置を販売していた。

 MDI-SBソーラーは、群馬県館林市に出力2MW、山梨県上野原市に出力約3MWのメガソーラーを建設した。