日経テクノロジーオンラインのテーマサイト「エネルギー」の直近1カ月(2014年8月22日~9月17日)のアクセスランキングでは、恒例のメガソーラー探訪記の他、燃料電池関連の記事が複数ランクインしました。
燃料電池は一時期のブームが去ったとも言われてきましたが、ここにきてリバイバルが鮮明です。火付け役はなんといっても自動車業界でしょう。9月6日には、トヨタ自動車が2014年度内に発売する燃料電池車(FCV)の名前を「ミライ」とする方針を固めた旨を、各社が報じました。
ランクインした記事の中でとりわけ目を引くのは、第9位の「アップル、グーグルも導入、米国で足場固める燃料電池」です。米国において、電力会社向けに、装置販売や設計・施工、サービスまでを手掛ける大型燃料電池ビジネスが活発化している状況を伝えています。背景の一つは、シェールガス革命によって燃料となる天然ガスの価格が下がっていることです。
米Apple社や米Google社などの大手サービス事業者が、燃料電池とどう絡むのか。記事が伝えているのは、各社の“心臓部”ともいえるデータセンターにおいて、燃料電池の採用が進んでいること。電気代を節約できるメリットに加えて、停電時にも電力を安定供給できる点が評価されているようです。米国の強豪企業たちの、知られざる競争力の源泉を垣間見る思いがしました。
燃料電池の大幅なコスト削減につながる可能性を伝え、第3位にランクインしたのが「ニッケルが水の高効率な電気分解用触媒に、Stanford大学が開発」。米Stanford Universityが、1.5Vと低電圧かつ白金(Pt)並みの高効率で水を電気分解する新しい触媒を開発したとのニュースです。その触媒とは、ニッケル(Ni)とその酸化物(NiO)が複合したナノ粒子をカーボンナノチューブ(CNT)に付着させた材料。この新触媒の登場により、水の電気分解のコストが大きく下がり、燃料電池向けの水素ガスを低コストに得られる可能性が出てきたと、同記事は指摘しています。
太陽電池関連では、“厳しい自然との共存”をテーマにした記事が人気を集めました。「雑草によるフェンス倒壊などを克服した、東広島・北広島のメガソーラー」が首位、「冬場の土壌凍結に備えた杭基礎工法 夏は涼しい北海道・白糠のメガソーラー」が第12位に入りました。極めつきは、カラスの落石による太陽光パネルの破損を取り上げた、第6位の「カラスが太陽光パネルに石を落すのは、遊びの一種」、宇都宮大・杉田教授」でしょう。日本に生息する「ハシボソガラス」と「ハシブトガラス」、遊び好きで落石の原因を作っていると考えられるのはどちらか、皆さまはご存じですか?