日経テクノロジーオンラインのテーマサイト「エネルギー」の直近3週間(2015年2月18日~3月10日)のアクセスランキングでは、蓄電池関連の記事が上位にランクインした。
蓄電池に注目が集まる理由の1つに、再生可能エネルギーの導入量の急増がある。再生可能エネルギーの導入量が増えるにつれて、出力変動や余剰電力による電力系統への影響が無視できなくなっているのだ。
ランキング8位の「スマート化するパワコン、ハワイ州における太陽光発電の大量導入問題を解決」にあるように、ハワイ州では新たな太陽光発電システムを導入できない事態に追い込まれた。ハワイ州はパワーコンディショナーの高機能化で解決する道を選んだが、蓄電池の価格が下がれば出力変動や余剰電力を抑える有力な解決手段になる。
蓄電池メーカーは、蓄電池の活用が進む将来を見据えて動き出している。2015年2月に東京で開催されたエネルギー関連の展示会では、京セラ(関連記事)やシャープ、パナソニック(関連記事)が、容量を増やした住宅用の蓄電池を相次いで展示した。
各社の説明員は、「今後、再生可能エネルギーによる電力の買い取り価格が下がると同時に、電気料金が上昇することが予想される。そうなれば、売電するよりも蓄電して自ら使う方がトクになる時代がやってくる。その時に備えて、容量を増やした」とした。
住宅用の小型の蓄電池だけでなく、大型の蓄電池の活用も検討されている。例えば、再生可能エネルギーだけで島内の電力を賄うことを目指した実証実験に取り組む来間島には、出力約380kWの太陽光発電システムと容量352kWhの Liイオン2次電池が設置してある。その効果として、年間を通じて電力需要の30%程度を、再生可能エネルギーだけで賄うことができた(関連記事)。
実証実験の担当者によると、大型蓄電池の近くに住む住民から「騒音」に対する苦情があったという。稼働部分がない蓄電池に、「まさか騒音問題が浮上するとは予想していなかった」(担当者)。コンテナに収めた蓄電池やパワーコンディショナーなどを冷却する空調機や、パワーコンディショナーのスイッチングノイズなどが、苦情につながった可能性がある。今後、住宅地の近くに大型蓄電池を設置する場合に備えて、騒音に配慮した技術の開発も必要になりそうだ。