豊田市の低炭素社会システム実証プロジェクト「Smart Melit(Smart Mobility & Energy Life in Toyota City)」では、コンビニエンスストアなど商業施設に設置した太陽光発電システムの電力を店舗の定置式蓄電池にため、宅配便の集配車の冷蔵・冷凍用電動コンプレッサーを稼働させる車載蓄電池に非接触で充電する実証が始まった。店舗では定置式蓄電池にためられた電力をさらにヒートポンプ式給湯器でお湯に変えて店内で使用することで、集配車や店舗から排出するCO2を削減する取り組みが進んでいる。

 豊田市内にあるコンビニエンスストア「セブン-イレブン豊田上野町店」の駐車場の一角は、白いフェンスに囲まれ、普段は施錠されている。ここは、ヤマト運輸の集配車の“専用”充電スポットである。1日2回、セブン-イレブン店舗に集荷のために訪れる集配車が、このスポットに停まると、車載の蓄電池に充電される(写真1)。

 駐車場の路面には電力を非接触で送電するためのパッドが置かれている。所定の位置に集配車を停めたドライバーが、操作盤の「充電開始」ボタンを押すと、路面の送電パッドのコイルに電気が流れる。すると、集配車の底部に装着された受電パッドのコイルに電流が発生し、集配車の車載蓄電池に非接触で充電される。「非接触充電システム」と呼ばれる仕組みだ。最大出力は4.5kWで、集配車の車載蓄電池を約2時間でフル充電できる性能という。

【写真1】ヤマト運輸の集配車に充電する非接触充電システム
集配車を停車位置に車を停め(上左)、簡単な操作だけで充電が始まる(上右)。路面の送電パッドから車両底部の受電パッドに非接触で充電する(下)。(撮影:森田 直希)