ハワイ州の島ごとの分散型太陽光発電設置量(黄色が住宅用、茶色が商業用)(図:U.S. Energy Information Administration)
ハワイ州の島ごとの分散型太陽光発電設置量(黄色が住宅用、茶色が商業用)(図:U.S. Energy Information Administration)
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ハワイ州オアフ島における分散型太陽光発電の浸透率(濃い青色部分は分散型太陽光発電の午前9時から午後5時における電力供給量が最小電力需要量の120%を超える配電網を示す)(図:HECO)
ハワイ州オアフ島における分散型太陽光発電の浸透率(濃い青色部分は分散型太陽光発電の午前9時から午後5時における電力供給量が最小電力需要量の120%を超える配電網を示す)(図:HECO)
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Enphase社の最新のマイクロインバーター「M250」(写真:Enphase社)
Enphase社の最新のマイクロインバーター「M250」(写真:Enphase社)
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ハワイ州の住宅の屋根に設置したEnphase社のマイクロインバーター(写真:Enphase社)
ハワイ州の住宅の屋根に設置したEnphase社のマイクロインバーター(写真:Enphase社)
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 日本では、再生可能エネルギーの導入量の急速な増加に対応するため、出力を時間単位で制御する新たなルールの運用が始まった。これに伴い、出力抑制の対象となるすべての事業者に、パワーコンディショナー(インバーター)の遠隔制御機能の搭載が義務付けられた。

 同じように米国でも、パワーコンディショナーの高機能化が求められている。特に、分散型の太陽光発電システムの浸透率が高いハワイ州では、電力の安定供給に向けてパワーコンディショナーのスマート化が欠かせなくなっている。ハワイ州で最大の電力会社である米Hawaiian Electric Co. (HECO)は、パワーコンディショナーメーカーと共同で新しい基準作りに乗り出した。

接続申請が半減

 ハワイ州は他の州と違って、配電網に接続する分散型住宅用システムが太陽光発電市場の大部分を占めている。さらに同州は、電力網が独立していることから、他の州に余剰電力を送電する柔軟性がない。

 ハワイ州では過去3年間にわたって、分散型太陽光発電システムの導入量が急速に増加したことで、電力系統への悪影響が懸念されるようになった。例えば、9~17時の分散型太陽光発電システムからの電力供給量が、電力需要量を超える可能性がある。

 このため、太陽光発電システムの累積導入量が全米トップのカリフォルニア州に先駆けて、HECOが2013年9月に分散型太陽光発電システムの系統接続申請の保留に踏み切った。これにより、太陽光発電システムの浸透率が高い配電網において、太陽光発電システムを連系する容量に制限をかけた。

 接続保留の対象になったのは、9~17時の分散型太陽光発電システムの電力供給量が、最小電力需要量の120%以上になる配電網に接続計画中の太陽光発電システムである。

 この接続申請保留は、ハワイ州の太陽光発電産業に大きなダメージを与えている。HECOのサービスエリアであるオアフ島における、2014年の太陽光発電システムの系統連系接続申し込み件数は、2013年の半分にまで減少した。

 その後HECOは、太陽光発電システムの頭脳であるパワーコンデョショナーの製造メーカーと、系統の安全と信頼性向上に向けて試験を実施し、新しい基準を作成した。これに伴い2014年11月に、HECOは接続申請保留を解除することを発表した。今後は、保留した申請を徐々に処理していく。ただし、接続許可を取得するためには、太陽光発電システムの大量連系対応のパワーコンデョショナーを採用する必要がある。