図1 「光センサー液晶パネル」を採用したノート・パソコン「PC-NJ70A」。主画面は10.1型。外形寸法は約260mm×190mm×23.3〜39.8mm。入力パッド部分に光センサー液晶パネルを採用するため,一般のタッチ・パッドに比べると液晶パネルやバックライトの分,厚みがあるようだ。同社は,今回の製品を家庭内で持ち運んで使うノート・パソコンと想定しており,それほど薄型化には注力していないとみられる。重さは約1.46kg。「JEITAバッテリ動作時間測定法」に基づいた電池駆動時間は約3時間。
図1 「光センサー液晶パネル」を採用したノート・パソコン「PC-NJ70A」。主画面は10.1型。外形寸法は約260mm×190mm×23.3〜39.8mm。入力パッド部分に光センサー液晶パネルを採用するため,一般のタッチ・パッドに比べると液晶パネルやバックライトの分,厚みがあるようだ。同社は,今回の製品を家庭内で持ち運んで使うノート・パソコンと想定しており,それほど薄型化には注力していないとみられる。重さは約1.46kg。「JEITAバッテリ動作時間測定法」に基づいた電池駆動時間は約3時間。
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図2 写真をスライド・ショー表示したところ。手元の光センサー液晶パネルの部分に,サムネイルが表示されている。主画面のスライド・ショーに合わせて,サムネイルも右から左に移動していく。
図2 写真をスライド・ショー表示したところ。手元の光センサー液晶パネルの部分に,サムネイルが表示されている。主画面のスライド・ショーに合わせて,サムネイルも右から左に移動していく。
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図3 光センサー液晶パネルと主画面の連動を生かしたボウリング・ゲーム。光センサー液晶パネルに表示されるボールを操作して,主画面に表示されたピンを倒す。
図3 光センサー液晶パネルと主画面の連動を生かしたボウリング・ゲーム。光センサー液晶パネルに表示されるボールを操作して,主画面に表示されたピンを倒す。
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図4 別売りの筐体カバー「アドオンジャケット」を用意した。好みの画像を印刷した紙や布を入れられる。
図4 別売りの筐体カバー「アドオンジャケット」を用意した。好みの画像を印刷した紙や布を入れられる。
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 シャープはノート・パソコン「Mebius」の新製品として,入力用タッチ・パッドに,タッチ・パネルとスキャナー機能を搭載した「光センサー液晶パネル」を採用したノート・パソコン「PC-NJ70A」を発表した。光センサー液晶パネルの採用は初めてという。パソコンとしては,マイクロプロセサに米Intel Corp.のAtomを採用するなど,いわゆる「Netbook」と同等の仕様を備えた。価格はオープンだが,実売価格は8万円前後になると想定する。光センサー液晶パネルなどに伴う付加価値は約1万円分と見込む。発売は2009年5月下旬を予定している。

 光センサー液晶パネルは,各画素に光センサ(フォト・ダイオード)を1個ずつ形成したもので,抵抗膜などタッチ・センサ用の層が不要であるため,従来のタッチ・パネルに比べて薄型化しやすく画面が明るいとする(Tech-On!関連記事)。従来のタッチ・パネル同様,指でなぞって操作したり,付属のペンによって入力したりできるほか,置いたものの形状を認識する簡易的なスキャナー機能も実現できる。同社は,光センサー液晶パネル自体は2007年8月に発表している。「CG Silicon(連続粒界結晶Si)」を使った液晶パネルを生産する三重第3工場(三重県多気郡)で生産する。

 今回搭載した光センサー液晶パネルは4.0型。この液晶パネルを搭載したことで, (1)手書き入力,(2)画面表示と組み合わせた入力,(3)光センサー液晶パネルと主画面を連動させたソフトウエア「タッチソフト」,などが実現できた。(1)は手書き入力による図の作成や写真への書き込み,手書き文字入力などに利用する。(2)は,マウス・ポインタや時計などのガジェットを表示して,「触ってみたくなる」入力デバイスを目指しているという。(3)は,ボウリング・ゲームや電子ブックなど,各種アプリケーションを用意した。2009年6月ころをメドにタッチソフトの開発ツールを公開し,ソフトウエア・ベンダーとの協業によってアプリケーションを強化する予定である。当初の出荷製品には,スキャナー機能を使ったアプリケーションは用意していないが,開発次第,順次ダウンロードにより提供するという。

 シャープでは,今回の製品を新しい入力デバイスを備えた新しいパソコンと位置付けている。そのため,「ユーザーと一体となって,集約したアイデアを今後の商品企画に生かしたい」(同社 パーソナルソリューション事業推進本部 副本部長 新井優司氏)として,「シャープな暮らし研究所」というWebサイトを用意する。製品の使いこなし方法や次期製品のアイデアなど,ユーザーが意見交換する場を作る狙いだ。今回の発表に先駆けて2009年4月14日から100人のモニターを同社のWebサイトで募集したところ,申し込み数は1日で1万件に達したという。まずはこのモニターなどに,シャープな暮らし研究所に参加してもらうとする。

 光センサー液晶パネルについては,他社のパソコンなどに向けた外販も想定している。自社製品への搭載は,市場形成に向けたさきがけとする。将来的には,4~5型のいわゆる中小型品だけでなく,10数型といったパソコンの主画面にも使えるような大きさまで品種を拡充し,用途を各種製品に広めることを目指す。



【お知らせ】セミナー「タッチパネルの最新技術動向と今後の展開
タッチパネルの現状と今後,マルチ入力/筆圧感知3次元/インセル/フレキシブル化などを解説。2009年6月29日(月)開催。