• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

HOMEスキルアップマネジメント > 【チャイナリスクに勝つ】 第1回---怯える日本企業

【チャイナリスクに勝つ】 第1回---怯える日本企業

  • 近岡 裕=日経ものづくり
  • 2005/05/23 18:40
  • 1/1ページ

連載の目次ページはこちら

 「中国のカントリーリスクが増大しているので,中国以外に工場を設けて生産拠点を分散化する検討に入った」──。2005年5月17日,ユニデンはTech-On!の取材でこう内情を明かしてくれた。同社は主に米国市場向けにコードレス電話機と無線通信機器などを生産するメーカーである(図1)。現在はその製品の100%を中国現地工場で生産する。つまり,中国での一極集中生産だ。生産拠点を一カ所に集中させれば,ヒトやモノの移動量などを節約でき,生産の効率をギリギリまで高められる。

 ところが,同社はここに来て「中国だけで生産するのは,極めてリスクが高い」(同社)と判断。中国以外の国にも工場を設け,いわゆる生産拠点の分散化を図る必要性を痛感したという。生産拠点を分散すれば,その分,効率は低下する可能性がある。だが,「たとえ多少効率が落ちるとしても,製品の安定供給の方を重視したい。今後チャイナリスクにより中国現地工場が操業停止になり,しかもその時期が需要期に重なれば,当社は致命的な損害を被ってしまう」と同社は生産拠点の分散の検討に入った理由を説明する。そして,「このままでは,その可能性を否定できない」とまで同社は言うのである。

 生産拠点を中国1国に集約したユニデンにとって,チャイナリスクの増大は“死活問題”だ。だが,それは決してユニデンだけの悩みではない。実際,多くの日本企業が今,顕在化したチャイナリスクを真剣に受け止め始めている。

8割の日本企業が経済への影響を懸念

 その事実は,帝国データバンクが2005年5月11日に発表した調査結果でも明らかになった。「チャイナリスクの顕在化に対し,今後の日本経済への悪影響を懸念している日本企業は8割にも達する」というものだ(図2)。日本国内の2万1471社(有効回答率は49.1%)を対象にアンケート調査を実施した結果である。

 さまざまな業種の中でも製造業は,チャイナリスクの顕在化が日本経済へ与える影響を深刻に受け止める業種のトップ3の一角を占める。悪影響に懸念を抱く企業の割合は多い方から,運輸・倉庫業の65.8%,卸売業の64.8%,次いで製造業の60.0%だった。「中国に生産拠点を持ち,原料や一次製品の仕入れ,物流にかかわる業界で,特に先行きを不安視している企業が多い状況が浮き彫りとなった」と帝国データバンクは分析する。

「中国進出を見直す」日本企業が35.5%に


 チャイナリスクの顕在化は,これから中国に進出しようとしている日本企業には特に強い危機感を与えている。帝国データバンクは,中国への進出を計画している日本企業の848社に対し,その計画を見直す可能性について聞いた。すると,実に中国進出を検討していた日本企業の3社に1社以上が,増大するチャイナリスクの前にその計画の見直しを迫られていることが判明したのである(図3)。

 帝国データバンクのこの調査の期間は2005年4月20日~30日。いわゆる「反日デモ」がピークに達した直後だ。そのため,上記の質問に対して「懸念する」「見直す」という回答率が実態以上に上ブレしやすい時期だったという見方もできる。だが,帝国データバンクは「そうではない」と反論する。その理由はこうだ。これまでにもチャイナリスクはたびたび指摘されてきたが,それはあくまでも想像の域を出ていなかった。つまり,むしろこれまでが「下ブレ」の状況にあったという。ところが「そうしたリスクの一部が反日デモとして現実となったことで,この調査で日本企業が示した危機感はより実態に近いものとなっている」(同社)。

 一見,現時点では一連の反日デモが小康状態,もしくは沈静化したようにも思える。ところが,実際にチャイナリスクが顕在化した以上,日本企業がチャイナリスクに対する危機感を払拭することは簡単にはできない。それどころか,より一層慎重になると帝国データバンクは分析するのである。

 13年前の1992年に中国に進出し,現在は製品の約80%を中国現地工場で生産するほど中国との関係が深い船井電機。「当社は時間をかけて良好な労使関係を構築してきた。そのため,今回の反日デモの影響は全く受けなかった」と前置きした上で,同社社長の船井哲良氏は「反日デモやストが起こる可能性は今後も非常に高いと見ている。もちろん,当社では起こさないように努めるが,完全に抑え切れるとは言い難い。従って,今後は大型投資などについて,チャイナリスクを十分に考慮して決定していく」と語る(図4)。船井氏がこう語ったのは,2005年5月12日,同社の2004年度(2005年3月期)連結決算の説明会の席上だ。反日デモのピークが過ぎ,収束に向かった後でも,船井電機はチャイナリスクを大きな問題としてとらえていることが分かる。(次回に続く

    連載の目次
  1. 怯える日本企業
  2. 狙われた現地工場
  3. 理不尽な理由
  4. 貧富と腐敗
  5. 壊滅するメーカー
  6. 意志疎通の力
  7. 正面を切る対峙
  8. 不良社員の変身
  9. 中国依存からの脱却
  10. 持続的成長への布石
【技術者塾】(6/9開催)
「製品の差異化」はこれでうまくいく

~顧客ニーズと設計のギャップを埋める技術~


実務経験豊富な講師が、優れた「製品の差異化」を実現する具体的な方法を解説します。また、この取り組みの骨格とも言えるQFD(Quality Function Deployment:品質機能展開)のうまいやり方、コツを分かりやすく解説します。 詳細は、こちら
日程 : 2016年6月9日
会場 : Learning Square新橋
主催 : 日経ものづくり

おすすめ