2005年4月に3週間連続で中国で発生した反日デモ。デモ隊の一部が暴徒化し,日本大使館や日本資本の店舗に投石したり,日本車をひっくり返したりするなどの暴力行為にまで発展した。

 影響は日系メーカーの中国現地工場にも及ぶ。賃金などの待遇の不満を訴える集会がデモに発展し,工場の操業停止に陥った日系メーカーや,店頭から製品を撤去され,販売機会を奪われた日系メーカーもある。

 そして,日本の製造業とって何よりも重要なことは,この反日デモが一過性のものではないことだ。反日デモはあくまでも中国のローカルリスクである「チャイナリスク」の“氷山の一角”に過ぎない。反日デモが起きる背景を探り,チャイナリスクの中身を十分に把握する。その上で,チャイナリスクに負けない製造現場を築き,さらにそれを乗り越える体質にしていく。そうした条件に,全10回のTech-On!連載記事で迫る。

 連載の各回は以下の通りである。

    連載の目次
  1. 怯える日本企業
  2. 狙われた現地工場
  3. 理不尽な理由
  4. 貧富と腐敗
  5. 壊滅するメーカー
  6. 意志疎通の力
  7. 正面を切る対峙
  8. 不良社員の変身
  9. 中国依存からの脱却
  10. 持続的成長への布石