古い話で恐縮ですが、2013年度上半期のNHK朝の連続テレビ小説「あまちゃん」のオープニングは、タイトルのあと三陸鉄道の電車が1両で走るシーンから始まっていました。
と、ここまで読んで違和感に襲われた方、どのくらいいらっしゃるでしょうか。きっと、この記事の下にあるコメント欄に直行し、次のように書きたくなられたことと思います。「あれは電車ではない。ディーゼルカー(気動車)だ」と。
非電化区間を走る動力車は、昔は蒸気機関車、今はディーゼルカーかディーゼル機関車が相場です。ところが都市近郊など、電化区間ばかりの場所では、「電車」という言葉で旅客が乗る車両や列車一般を表現することがあります。そこで、非電化区間を走る車両のこともついつい「電車」と言ってしまうわけですが、電気以外の力で走っているものを電車と呼ぶことに対して強い違和感を持つ人々が、一定数存在します(筆者も含みます)。
ところが、この違和感を解消する技術開発が進んでいます。それが、日経テクノロジーオンラインのテーマサイト「設計・生産」の2015年1月6~26日のランキングで3位に入った「バッテリー電車」です。バッテリーを積み、架線(専門用語としては「がせん」と、にごって読みます)のある区間で充電し、非電化区間をバッテリーからの電気でモーターを回して走る。つまり、非電化区間を走る「電車」の登場です。
もともと「電車」は、「電動客車」や「電動貨車」、つまり電気の力で自走する客車や貨車のことを指す言葉が短くなったものだそうです。従って機関車に牽引される客車、ディーゼルエンジンで自走するディーゼルカーは電車には当たりません。ややこしいのは、ディーゼルエンジンで発電してモーターを回す車両(つまり、シリーズハイブリッド車)は「電気式気動車」で、電車ではないそうです。
「設計・生産」のランキング1、2位は、モジュラーデザインの提唱者日野三十四氏による大好評コラム「一人の設計者がモジュラーデザインを確立した軌跡」の最近の回、4位は中央大学教授の竹内健氏による「竹内健のエンジニアが知っておきたい技術経営MOT」と、相変わらずコラムがよく読まれています。5位、9位、10位当たりにはニュース記事が入っているのも、今回のランキングの特徴といえそうです。