生産技術や加工技術の分野で2014年に最も耳目を集めたのは、「異種材料接合」だ。異なる種類の材料を、接着剤やねじなどの締結要素を使わずに強固にくっつける接合技術のことである。日本で誕生し、世界リードする接合技術でもある。

 樹脂と金属、異なる金属同士、異なる樹脂同士などを直接強く結合できる。引っ張り試験を施すと、母材破断、すなわち接合面が剥がれずに材料がちぎれるほど強力に結合するのである。

 異種材料接合の実用化で先行しているのはデジタル機器だ。中でも、最近採用が増えているのがスマートフォンである。大成プラス(本社東京)は、スマートフォン向けに、樹脂と金属を接合させたカバー部品(筐体や骨格部品)を大量に生産してユーザーに収めている(図1、関連記事1)。骨格部品では、アルミダイカストを切削したワークに化学処理を施した後、金型に入れて樹脂をインサート成形する。

図1◎スマートフォン向けに樹脂と金属を接合させたカバー部品
図1◎スマートフォン向けに樹脂と金属を接合させたカバー部品