デジタル家電の開発・製造で、世界的なパラダイム・シフトが起きている。この数年、家電業界で言われ続けている変化です。
Tech-On!のテーマサイト「家電・PC」で台湾在住の業界アナリストである大槻智洋氏が報じた「Appleが商品の製造拠点を開示、その狙いはどこに」からは、その一端が垣間見えます。
「Apple社が『iPhone』『iPad』などのモバイル端末やパソコン、周辺機器の製造業者と組立工場の所在地を、詳細な住所と共に同社のWebサイトで開示し始めた」という内容です。製品分野ごとに並べた一覧表を見ると、同社の製造拠点が広がっている様子が浮かび上がってきます。
仮想的な生産拠点網を広げるApple
もちろん、世界の工場である中国が多いわけですが、主力製品のiPhoneやiPadはブラジルでも生産しているようです。ほかの製品分野に目を転じれば、米国やアイルランドでの生産品も存在します。
ご存じの通り、Apple社は、シャープへの出資で注目を集めた台湾Hon Hai Precision Industry社(鴻海、通称Foxconn)をはじめとする生産受託(EMS/ODM)企業を活用しています。自社で生産拠点を抱えずに、仮想的な生産拠点網をグローバルに広げているわけです。
大槻氏は、台湾を中心とするODMウオッチャー。Foxconnなどの動向に詳しい同氏は、この1~2年で「Apple社の製品を製造する企業の労働環境が良くない」という指摘が激しさを増していることに触れ、「透明性をアピールしたかったのだろう」と情報開示の背景を分析しています。